三流は「失敗は許さない」と、二流は「失敗を恐れず」と言う。では一流は?
三流のリーダーは「失敗を許さない」と言います。二流のリーダーは「失敗を恐れず挑戦しよう」と言います。
では一流は?…
昨年9月に金沢市で僕の新刊の出版記念イベントを行い、書籍内で事例紹介した「株式会社ザカモア」(西村拓朗社長)の皆さんにゲスト企業として登壇していただきました。
イベントは予定調和ではなく、流れの中で活きた話が出るように、事前の打ち合わせは最小限にとどめました。
話題が「任せる勇気」になった時に、社員さんから凄いエピソードが出ました。
ある時、数名の社員さんで考えたプロジェクトで大きな損失を出してしまったことがあったそうです。
損失金額が大きかったので、社員さんたちは、怒られる覚悟で西村社長に報告をしました。
すると、西村社長は落ち着いた様子でこう言いました。
「どうしてそんなことになったの?」
文字にすると分かりづらいのですが、これは失敗を責める言葉ではありません。
「ちゃんと原因を考えよう」というニュアンスなのです。
一流と二流の境界線は、失敗を責めずに成長の機会にできるかどうかにあると思います。
そもそも失敗は失敗ではなく、「上手くいかない方法が分かった」ということですので歓迎すべきことです。
失敗を責めると成長の機会を失います。
1999年に発生した東海村JCO臨界事故の際に、アメリカから調査委員として来日し、事故原因の究明にあたった委員は、口々に「みんな本当のことを言わない」と困惑したと言います。
犠牲者が出た事故ですので「失敗は歓迎すべき」ではありませんが、再発防止をする上で真実が見えないのは致命的です。
失敗から学ぶ効果は、ミスの再発防止だけではありません。
クリエイティブにも大きく影響します。創造性とは、予定調和でないユニーク性という性質を持ちますから、計画的に発動させることはできません。計画的に生み出されるものは「予定通りのもの」で、「そうきたか!」の驚きはありませんからね。
創造性が偶発性によるということは「量」が質の高いアイデアを生む秘訣でといいうことになります。
実際に、アーティストの珠玉の作品は、その人物が最も多くを生産している時期に生まれているそうです。(同時に駄作も多いそうです)
失敗を咎められたら挑戦の量が減り、結果的に質の低下を招いてしまいます。
真実を隠すのは「言うと罰せられるから」です。
アメリカには司法取引制度があります。「これ以上責めないから本当のことを言って欲しい」と交換条件を提示するわけですが、この制度により原因の根本に迫ることができた事故や事件が数多くあります。
人間の脳は、目の前の現実に対し、それが起きた因果関係を物語として紡ぐ性質があります。その物語を「過去→現在」で留めてしまうと、原因究明よりも犯人探しに思考が向いてしまいます。
物語に未来軸を加えることで、好ましくない出来事を繁栄に紡ぐことができるのだと思います。
西村社長の「どうしてそんなことになったの?」という言葉には、正解がない時代において、自社オリジナルの正解を見出すための要諦が凝縮していると思ったのです。
というわけで今日も失敗を恐れず、いや全ての出来事を前向きな未来に紡いでいきましょう。
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