アインシュタインに学ぶ、一か八かの賭けではない冒険の作法

脱サラして起業を目指す人に対し「思い切って新しい世界に飛び込まないと肚が決まらない」と従来の世界との潔い決別を促す人がいますが、それはとても危険な考え方だと思います。
一見、肚が決まることでリスクを取れそうな感じがしますが、実際は逆で、ほとんどの人が萎縮し、かえってリスクが取れなくなります。

アインシュタインは、特許庁に勤務しながら相対性理論の研究を進めました。
坂本龍一は、テクノという世界初のジャンルを確立しましたが、その背景にはスタジオミュージシャンという手堅い仕事がありました。

リスクヘッジをするから思う存分に挑戦ができるのだと思います。
リスクとは「振り幅」のことなので、「上の振り幅」と「下の振り幅」があります。下の振り幅を最小限に抑えることで、上の振り幅に思い切って飛び込んでいけるというわけです。

これは企業が新しい分野に挑戦する時にも当てはまります。
ビジネスモデルにも商品にも、「導入期→成長期→成熟期→衰退期」のライフサイクル(寿命)があります。

この中で、最も「下の振り幅」が少ないのは成熟期です。この時期に、次のライフサイクルを描く新しい商品なりビジネスモデルを模索することが大切です。

しかし、経営者の中は、この時期に準備をせずに、時間もお金も浪費してしまう人がいます。
キャバレーで豪遊している経営者は、大抵、成熟期で経営を営んでいる方です 笑
実りを満喫しつつ、次の「飯の種」を撒く必要があります。そうでないと、衰退期に入った頃には手遅れになります。
というのも、「種」は幾種類も巻く必要があるからです。節操なく撒くのはどうかと思いますが、自分の想いを軸に、色んなアイデアをたくさん試して上手くいく方法を残すことが、ライフサイクル乗り換えの王道だと考えます。
衰退期に入ってしまったらこんな余裕はありませんからね。

僕は、このことを師匠に教わりましたが、師匠が強調したのは、「成熟期で安定するためには、顧客との間に関係性資本をつくること」です。
関係性資本とは経済学の概念ですが、僕はそれを商売の概念として次の要素で捉えています。

「好かれる」「信頼される」「共感される」

関係性資本は、いわば「自前のベーシックインカム」です。これが醸成されると経営は非常に安定します。「下の振り幅」が小さくなり、新規ビジネスや、新商品開発に安心して挑戦できますし、新規の商品やサービスが開発された時に、既存顧客が支持してくれます。

ということは、企業は、関係性資本をつくることを当面のマイルストーンに設定すると事業シナリオを描きやすくなります。

好感を持っていただくために何をするか?
信頼を得るためには?
共感されるには?

1つ1つを具体的な行動に落とし込むと、経営ががらりと変わることがあります。
ちなみに、僕は新聞店の社長時代に、洗剤やビール券で新聞の勧誘をする「営業至上主義」を止める決断をしました。

今日の話は、一見すると「未来のために備えよ」という薫陶に聞こえるかもしれませんが、僕が伝えたいことは、「実りを満喫しながら、もっと喜ばれる構想をワクワクと愉しむ」ということです。
意識は常に「今この瞬間」に置くというのが僕の流儀なのです。

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というわけで今日も素敵な1日を!


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