あの企業で起きた不祥事は「どの企業でも起きる可能性がある」という話

企業の不祥事が世間の明るみになると、「どうしてあんな事をやったのか?」と不思議に思いますよね?
お客様から預かった車を意図的に傷つけて保険金を請求したり、自動車の安全認証試験を誤魔化したりと、今年もしでかした企業がありました。

報道では、企業が進んで悪事を働いたかのうように報道しますが、僕はそれに疑問を持っています。
第三者委員会が「風土の問題」と指摘するように、ある環境下で「魔が差した」というのが正解なのではないかと思うのです。

このことを理解しないと、あなたの会社もとんでもないことをしでかすかもしれません。

魔が差す環境の代表格は、トップダウン組織に代表される「決める人と実行する人の分離」です。
トップダウン組織では、リーダーや上司が決めたことを部下が実行します。
僕は、PDCAを簡略化して…Plan(計画)Do(実行)→See(検証)…PDSサイクルとしています。
トップダウン組織では、PとSを上が行い、Dを下が「やらされる」という構図で仕事を進めます。

この分離状態に、「結果至上主義」が加わると、トンデモ事件が起こります。
上司がプロセス(やり方)には触れず、結果を要求すると、部下は手段を問わなくなります。
厄介なのは、両者ともに罪悪感を感じないことです。
上司は「結果を求めるのは当然」と、部下は「上司の要求に応えたまで」と捉えます。
こうして、悪意なきままに不正が起きてしまうのです。

不祥事がバレた時の記者会見で、経営陣が「現場の判断で行われた」と発言して炎上しますが、あれは本心なのだと思います。

先程の、PDSに当てはめると、上司が無策というPをして、部下が不正というDをするわけです。
Sは誰がやるかと言うと、誰もやらずに、事件になってから第三者委員会がやるのです。

昨年、多数の犠牲者を出した遊覧船のケースも、大手中古車販売会社も、最近の自動車メーカーも、無策なトップダウンの風土の中で起きた不条理だと思います。

トップダウンの会社ほど分業化を進めますが、これも不条理を加速させる要因になります。
犯罪を企てる人は、犯罪行為を「ひとしごと」1人の人間にやらせるのではなく、分業化します。
そうすると、1つ1つの行為に対する罪悪感が薄れるのです。

こうした不条理を防ぐためには、社員さんができるだけ、PDSを「ひとしごと」担当することと、日頃から第三者の目を入れることだと思います。
企業では、社長から社員まで、家と会社を行き来する毎日を送っている人がほとんどで、狭い世界で生きています。
自分たちの常識が世間とズレていることに気づかないのです。

色んな世界を見ている人…銀行員や税理士、コンサルタントなどの目でチェックしてもらったり、社員さんが積極的に外に出て副業をしたり、学んだり、交流したりする機会を設けることが大切だと思います。
僕が知る北陸地方の企業は、社員さんが副業をする場合、支援金を出しています。

組織には、法の一線を越えなくても、とんでもない事をしでかす危険性をはらんでいます。

要注意ですね。

というわけで、今日も素敵な1日をお過ごしください。

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