正解がなく変化が激しい時代を生き抜く「いい加減な経営」のすすめ
「◯◯君、そういう事は予め了承をとってもらわないと困るんですけど」
ずっと以前に、ある企業で指示ゼロ経営研修を行いました。研修では、どうしても5人1組でないとできないワークがあります。
ところが、研修当日、1人の社員さんが病気で欠席したので、上司の方に入ってもらおうと思い、お伺いを立てました。
その時に、開口一番に上司から出たのが、冒頭の言葉です。
◯◯君とは、研修の担当者で、僕はその方と細かな打ち合わせをしてきました。その方は研修中も色んな手配がありワークに入れないので、上司の方にお願いしようと思ったのです。
その組織には、普段からすべてを予定通りに進める文化があるのに加え、部下や部外者が独断で決めることはご法度なんですね。
僕のせいで◯◯君が怒られちゃったのです。
研修の最後に、参加された社員さんに、研修での気づきや学びを発表してもらいました。
そので最も多かったのは、「ウチの会社、このままじゃ変化の時代に生き残れない」というものでした。
話は変わりますが、「ゼンタングル」というアートをご存知でしょうか?
僕もつい最近知ったのですが、キッカケは義妹がゼンタングルのインストラクターの資格を取ったことでした。
ゼンタングルの「ゼン」は「禅」、タングルは「絡まる」を意味します。
線を組み合わせてパターンを描き進めていきますが、ゼンタングルでは「これが完成形」というゴールは設定しません。
よって失敗という概念がないのです。
感性のおもむくままに描き進め、変な描き方をしてしまっても、それを受け入れ、身を任せます。
意識が「今ここ」に集中するので、とてもマインドフルネスな芸術なのです。
このあり方は、まさに指示ゼロ経営的だと思いました。
これまでの経営は、明確なゴールを設定し、そこへ辿り着く最も効率的な方法を考えます。
ゴール達成が目的で、人・モノ・コスト・情報といった資源は、目的達成のための「手段」になります。
ひとことで言うと、「(経営者の)思い通りに事を進める経営」です。
この手法はいまだに大多数の企業で採用されていますが、今は外部環境の変化が激しいので、思い通りに行かないことの方が多くなっています。
それを無理にでも思い通りに進めようすれば、働く人に強いストレスがかかります。
心を病む人が増えるわけですよね。
心が荒むと創造性に悪影響を及ぼし、より思い通りに行かなくなるという悪循環に陥ります。
正解がなく変化が激しい時代では、大まかなビジョンと方向性を描いたら、あとは走りながら考え修正をするという経営が求められます。
そこには、どんな状況も受け入れ、流れに身を任せる力が必要です。
良い意味で「いい加減」ってことね。(ちょうどよい加減ってこと)
これまで、ビジネスパーソンに求められてきた力とは真逆なので、戸惑うと思いますが、定着するととても心地よいと思います。
そうなったら、冒頭の上司の言葉は、「OK OK!任せて」と、ウキウキしたものになると思います。
いい加減を経営に取りれたら、きっと新しい世界が広がると思います。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!