「外部の人に聞かせられない話」が会議で増えた時、企業はおかしくなる
今から20年前、当社は、社屋の建て替えを行いました。
従来の社屋は狭く、作業場と事務スペースが同じ部屋にあり、全スタッフが同じフロアで仕事をしていたのです。
社長室も応接室もありません。
新築した社屋は、従来の3倍の敷地面積があり、部門別に部屋を設けることができました。
応接室も作りました。
その結果、引っ越してわずか3か月後に部門間に壁ができ、チームワークが悪くなったのです。
僕と社員との関係にも溝が生じるようになりました。
その原因は、情報の閉鎖性にあります。
旧社屋では、同じフロアに一同が会すので、誰に聞かれても大丈夫な話しかしません。
その会話は、必然的に「全員にとって良い話」になります。
ところが、新社屋では、閉鎖的な空間で会話をしたことで、「自分たち都合」の話が増えました。
そういう話はオープンにできません。
部門を超えた全体会議を行い、情報共有を行うと、何かを隠している匂いがしてしまうのです。
そこで、会議中はドアをフルオープンにすることにしました。
たったこれだけで、会話の内容が自分たち都合から、全体都合に変わりました。
結局、部屋の作りが招く、「自分たち都合」の会話が問題だということが分かったのです。
会話の内容で企業の繁栄が決まると言っても過言ではないと僕は考えています。
今している会話は、他の部署に聞かせられるか? 顧客に聞かせられるか?
もちろん、社外には100%をオープンにすることはできませんが、聞かれて困る話が多いと企業は繁栄しないと考えるのです。
例えば、ある業界団体の会議に出席した時に展開されていた話は次の通りでした。
・訪問販売を強化するための方策
・お客様のお宅に伺った時にドアを開けさせる方法
・新規顧客を獲得するコストを増やすために、既存客へのサービスを減らす
とてもお客様に聞かせられませんね 笑
指示ゼロ経営では、「望みの統合」という概念を大切にします。
(統一ではなく「統合」)
社長が望むことを、社員が同じように望んでいれば、指示・命令がなくても自発的に動いてくれます。
自社の望みとお客様の望みが同じであれば、囲い込みなどしなくてもお客様で居続けてくれますし、お友だちを紹介してくれたりします。
望みが統合されていると、力学が非常に合理になるのです。
統合が起きる時というのは、誰に対してもオープンにできる会議をしている時です。
だから、会議の内容で企業の繁栄が決まると言っても過言ではないと考えるのです。
今度、会議をする時に、「そこにいない人」をイメージして行ってみてはいかがでしょうか?
違和感を感じたら、根本的な改善が必要かもしれません。