ヤル気の高い社員が辞めたら、経営を根本から見直す時期かもしれません

「ウチはホワイト企業なのに、若手が辞めてしまうんです」

昨年、とある企業で行った講演会を行いました。講演後の懇親会で経営層の方から冒頭の言葉が出たのです。
しかも、「ヤル気が高い社員ほど、積極的に辞めていく」ということです。
その会社は一部上場企業で、平均年収は600万円以上、休日は多く、残業は少なく、福利厚生も充実しているホワイト企業です。

それなのに辞めていくというのです。
経営陣の方は、「このままウチにいても希望が持てないと感じているのではないか?」とおっしゃっていました。

最近、この手の退職が増えているそうです。

厚生労働省の「転職者実態調査の概況」(2023年版)によると、転職者が前職を辞めた理由の、男性の回答のトップは「会社の将来に不安を感じたから」でした。
その理由は、社会が時代の曲がり角に差し掛かっているのに、その準備すらできていない企業が多いからだと推測されています。

戦後の復興期から経済成長期を経て、成熟期に入りました。

成熟期を過ぎると衰退期に入りますから、その前に新たな「種」を蒔き、育てる必要があります。
その種まきをしていない企業で、ヤル気がある社員から辞めていくというわけです。

再イノベーションが必要な時期に、イノベーティブな人材ほど辞めていくわけですから、事は深刻です。

成熟期の種まきは本当に大変です。
まったくゼロからの挑戦と違い、のれん(既存事業)を守りながらの変革が求められるわけですから、非常に難しいのです。

再イノベーションを起こすために参考になるのが、マッキンゼーの「ホッケースティック戦略」です。
「21世紀に入ってから、同じ市場に留まってシェアを伸ばして成長した会社は存在しない」と言います。成長してる企業は、今ある資源を成長市場で活用したという考察です。

これが、のれんを守りながら変革する確実な方法だと思います。

すごく簡単に解釈すれば、今あるものを活用し、新しい価値を作るということ。
新聞屋さんが、新聞以外のものを配るとか、そういうことです。

私の知り合いに、弁護士、司法書士、税理士などと提携して、円満な相続対策サービスを提供している企業があります。
その資源をベースに、「より豊かな余生を送る」というコンセプトでイノベーションに挑戦しています。
旅行会社と提携して「会いたい人に会いに行く旅」や、自叙伝の作成サービスなど、様々なアイデアが出ました。

若手が辞めていく、賃金が上がらない、後継者がいない…今、起きている症状の原因は、ビジネスモデルの賞味期限切れの可能性が高いと思います。

再イノベーションの道を模索しても良いのではないでしょうか?

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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