「結論から話しなさい」なんて言っていると時代に取り残されるかも?という話し

「ものが分かっている偉い人が物事を決める」「できるだけ効率よくテキパキと会議を進める」「感覚や感情という曖昧なものは扱わない」

これらは近代経営における意思決定の特徴です。

しかし、今は正解が分からない時代だから、過去に実績を上げた「偉い人」の経験が役立たなくなってきています。立ち止まることなくテキパキと意思決定をした結果、環境破壊やブラック企業化に突っ走ってしまった企業があります。心の豊かさの時代には、感覚や感情への理解は欠かせません。

そんな時代に注目されているのが、「ネガティブケーパビリティ」です。
性急に答えを出そうとせず、不安定、不確実を受け入れる力を指します。せっかちな現代人は苦手ですね 笑
「結論から話しなさい」なんて言っちゃうし…

ネイティブアメリカンは昔からネガティブケーパビリティを行ってきたと思います。
彼らの話し合いは、焚き火を囲い、輪になって座り行います。
発言は、子どもから大人まで平等にすることができます。1人が話している時は、周りの人は口をはさみません。
特に議題を置かないこともありますし、結論が出なくてもOKなのです。

先日、京都で僕の新刊の出版記念イベントを行いました。
基調講演で、僕のメンターである行動科学研究所の岩田洋治先生が、徳永進さんというホスピスの医師の事例を紹介しながら、まさにこのことを話されました。

ホスピスでは、日々、末期がんであることを告知すべきか、すべきでないかといった葛藤の間に置かれます。まさに究竟の選択です。
それは家族も同様です。

長年にわたり決断の間に身を置いた結果、「どんな答えが出たかではなく、患者本人、ご家族とともに、温かい心を持ち寄って、”どうしよう、どうしよう”と考え続けることが大切」という結論に至りました。

イベントでは、基調講演の後、「50年先の社会をイメージして、模造紙に描こう」という企画を行いました。
50年先の経済は、ビジネス、教育、学校、農業、地域コミュニティ、障がい者の活躍、ジェンダーはどうなっているか?どんな社会を次世代に渡したいか?
総勢50人で、”どうしよう、どうしよう、どうなる?”と考えたのです。

そんな場から生まれた「50年先の社会」は、とても優しくしなやかに強い、ワクワクするものでした。

わずか2時間ほどのワークショップで完全なものができるわけはありません。結論よりも、つくる過程で、「”どうしよう、どうしよう”」と温かい心を持ち寄ったことで出来上がった場が、何よりも価値あるものだと思います。

一生の思い出になるひとときでした。

いよいよ時代は、不確実で不安定で正解がなく、変化が激しくなっていきます。
そんな時代に未来を切り拓くのは、温かい心で模索する力なのではないでしょうか。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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