トムソーヤの冒険から学ぶ、要求をしなくても社員が自発的に仕事を愉しむようになる秘訣
経営者は社員に本当に多くの要求をします。
「自発的に仕事をして欲しい」「会社のことを自分事にして欲しい」「もっと仕事を愉しんで欲しい」
挙げれば切りがありませんよね。
それらの多くは、望まなければ叶いませんが、要求しても叶いと思います。
もし、男性が彼女に「もっと俺のことを愛して欲しい」と願うなら、魅力を身につけるしかないと同じだと思うのです。
「ソーヤー効果」という言葉をご存知でしょうか?
ダニエル・ピンクの著書「Drive」(日本名は「モチベーション3.0」)に登場する概念です。
「トムソーヤの冒険」の主人公の名前から取った名称です。
ある日トムは、ポリーおばさんに、ペンキ塗りというつまらない仕事を命じられました。
これを誰かにやらせようと思ったトムは、笑顔で楽しそうにペンキ塗りをしました。
すると、たまたま通りかかった友人が「そんなに楽しいなら、是非、自分にもやらせて欲しい」と懇願します。
しかし、トムはすぐにOKは出しません。
何度か断った後にこう言います。
「君が持っているリンゴをくれるならいいよ」
そもそも、普通、仕事は報酬を支払ってやってもらいますから、すべてが逆です。
もし、トムが「ペンキ塗りを変わってくれたらリンゴをあげる」と言ったらどうなったでしょうか?
友人は、瞬時に「これはつまらない仕事だ」と察知し、「2個くれたらOKだよ」なんて言うかもしれません。
あるいは、リンゴと引き換えに労働しますが、トムが見ていないとサボると思います。
トムは、友人に何も要求していません。それなのに、友人が勝手に自発的になったし、ペンキ塗りを自分事にし仕事を愉しんだのです。
たかが物語、されど物語です。ペンキ塗りを自社業務に置き換えると、人と組織の活性化の要諦を学ぶことができます。
物語は、友人がペンキ塗りを引き受けるたところで終わりますが、もし、その先があれば、きっと友人は3分でペンキ塗りに飽きてしまうという展開になると思います。
そうなったら、トムのことですから、ペンキ塗りという退屈な仕事に特別な意義を設けると思います。
「この道を通る人が気持ちよく通行できる」
「君が一生懸命にペンキを塗る姿に、近所の子どもたちが心を打たれる」
これらが、取ってつけたような姑息なものだと、すぐに元に戻ってしまうと思いますが、本物の思いであれば、モチベーションは持続するでしょうし、トムのもとにはペンキ塗りの志望者であふれかえるでしょう。
社員の様子を見て、何かを要求したくなったトムの逸話を思い出しましょう。
というわけ今日も素敵な1日をお過ごしください。
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