5万円の昇給を実現した企業から学ぶ「先義後利」の経営思想の実装法
「先義後利」という言葉があります。
儒教の教えで、「義を先にして利を後にする者は栄える」いう古典的な考え方です。
日本でも、よく「利益は後からついてくる」と言いますが、普遍的な繁栄の理(ことわり)なのだと思います。
僕は、これからの時代にもう一度フォーカスすべき思想だと考えています。
というのも、高度経済成長期に私たちが忘れてしまい、故に苦しんでいる企業が多いからです。
高度経済成長期は、モノに飢えた生活者に対し、「川上から川下へ」モノを効率よく作り流通させることで企業は成長しました。
この頃の経営理論は、生産と流通の効率化を重視しました。
時代は流れ、今の生活者はモノに満たされています。
大げさな表現ではなく、大規模商業施設に行っても「欲しい物がない」と言う人が大勢います。
僕の家の近所の靴屋の店主は、「バブルが崩壊した頃から、ただ商品を並べておくだけでは売れなくなった」と言います。
そんな時代ですが、決して無欲になったわけではありません。
より素敵な生活を送りたい、体験をしたい…その「素敵」が非常に高度なのです。
おもてなしに代表される「心の豊かさ」です。
そして、今の生活者は上手に使い分けをします。
生活必需品は大手の安いところから買い、心を満たす消費は、私に寄り添ってくれるお店・会社にお願いするのです。
企業と顧客の間に関係性が求められる時代になりました。
「関係性の質」が経営の根幹を成すのです。
関係性は一朝一夕にできるものではなく、じっくりと醸成されていくものです。
だから、先義後利の思想にフォーカスすべきだと考えるのです。
これを実践している企業を僕の新刊「賃金が上がる!指示ゼロ経営」で紹介しました。
岩手県陸前高田市「株式会社AKASI」(菅原晃弘社長)です。
同社は岩手県に「さくら」という訪問看護ステーションを4箇所運営しています。
僕が菅原社長に出会ったのは2019年の秋、社内研修でお邪魔した時でした。
その際に、菅原社長が作った「経営方針書」を見せていただきましたが、そこには「お金に対する考え方」が明記されていました。
「お金は、我々の目的の産物であり、「幸せになる手段」で、目的ではない。」
「お金を追うだけの人生なんて、つまらない。人や街や仲間に感謝されて、得たものがお金で、それが個人の幸せを叶える手段につながるものであってほしい」
まさに先義後利です。
同社は、訪問看護や訪問リハビリテーションが当たり前にある地域社会の実現をミッションに掲げています。
「当たり前にある」とは、近くにあるという「量」の意味もありますが、難病や小児などにも対応できる「質」の意味もあります。
同社は、このミッション=「義」を追求した結果、「利」が後からついてきました。
非常に業績がよくなり、なんと基本給を5万円昇給し、業界最高峰の賃金水準を実現しました。
無理をしたのではなく、顧客や地域社会と培った関係性に見合ったものなので、持続できるのです。
新刊の出版を記念し、出版記念イベントを全国で行いますが、仙台会場には同社が登壇します。
社長だけでなく、社員さんにも登壇いただきプロセスを解説していただきます。
オンライン参加も可能です。
御社の社員さんが聞けば、きっと大きな刺激を受けますよ!
二度とない機会をお見逃しなく。
イベントの詳細は下のバナーをチェックしてください!