お騒がせの中古車販売会社を反面教師に学ぶ「思考停止集団」の防ぎ方

ビッグモーターが世間を騒がせています。
報道されていることが事実なら、存亡が危ぶまれる一大事になるでしょう。
その悪辣たるや、もはや反社です。

そして、ゆうちょ銀行の不祥事の時と同じように、「現場の判断でやった」というニュアンスのことを経営陣が言うのだから、腹の虫が治まりません(怒)

メディアが入手した、同社の経営計画書には信じられない言葉が並びます。

「経営には、いかなる格闘技にも勝る激しい闘争心が必要」
「会社と社長の思想は受け入れないが、仕事の能力はある。今、すぐ辞めてください」
「経営方針の執行責任を持つ幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」

修羅の国か?

僕は、どんなヤツが社長なのか?と興味がわき、報道を調べました。
すると、事件から想像がつかない人柄が見えてくるのです。

スーツはアオキ。
全国の店舗に行く際には、電車の自由席、駅からは徒歩で移動することが多いそうです。
新入社員でも「さん」づけで呼び、社員さんの多くも「兼重さん」と呼んでいるそうです。
失敗に対しては厳しいが、次のチャンスは与える人だそうです。
学歴は不問で、どんな社員さんにもチャンスが与えられているそうです。

ええオッサンじゃん!

きっと、情熱あふれ、欲が旺盛で、オレ様気質で、やると決めたらとことんまでやる人なのだと思います。

僕には、自分の中に、彼と同じ性質があることを知っています。
僕は、30代の頃、ワンマン経営をしていました。
僕の独断で通販事業を立ち上げたことがありました。
結局はうまく行かず撤退したのですが、撤退の引き金を引いたのは社運をかけて開発した商品の大ゴケでした。

その商品とは…
「信州味噌で漬け込んだ銀だらの西京漬け」

信州に海はありません。信州味噌で漬け込んだものは西京漬けと呼んではいけません(笑)

この珍妙な商品開発に対し、当時、社員の誰も反対をしませんでした。

僕とビッグモーターの兼重社長の違いは、才能の差です。
彼は僕と違い、人を惹きつける魅力と商才がある天才なのだと思います。

しかし、天才社長がいる企業には危険が潜んでいます。
アメリカの心理学者、R・リッカートの研究よると、才能ある独裁的な経営者に支持が集まると言います。しかし周りの人間が思考停止に陥るので、やがて組織は弱体化すると言います。

同時に、集団の秩序維持が最優先され、不正を厭わない風土が形成される危険性があります。

風土は怖いです。

兼重社長は「企業風土改革を推進する」とメディアの取材に答えているそうです。
しかし、風土というものは、いわば秘伝のタレみたいなもので、醸成にものすごく時間がかかります。
「改革」という言葉とは真逆に位置するのです。

同社は離職率がものすごく高いそうですが、既存社員は、この文化に馴染んだ方が多いと思います。
すぐには変わらないでしょう。

この事件を反面教師にして、私たちは、長期的な組織風土の醸成を考える必要があると思います。

ちなみに、リッカートによると、成果を上げるリーダーを順位付けると次のようになるそうです。

1、集団参画型(集団活動を基本にし、あらゆる事柄にメンバーが参画し開発する)
2、相談型(上司と部下の1対1の対話で仕事を進める)
3、温情型(恩着せがましい人)
4、独裁型

今、どこに位置し、どこを目指しますか?

というわけで今日も素敵な1日をお過ごしください!

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