あなたの会社の「遺伝子の入れ替え」は順調に進んでいるか?
先日、NHKの番組で、養鶏場を営む親子の葛藤の物語が描かれていました。
父親は、創業以来50年間、ずっと大量生産方式でタマゴを生産し業績を伸ばし続けてきました。
ケージに鶏を並べ効率よく産ませる方法です。
一方、後継者の息子さんは、量より質の経営を志向しています。放し飼でノンストレスで育った鶏から生まれたタマゴを売りたいと考えています。
番組では、考え方の違いから衝突する様子がリアルに描かれていました。
あまりにもリアルで、思わず固唾を呑んでしまいました。
今、日本中で、この養鶏親子のようなことが起きています。
どちらが正解か?ということは一概には言えません。
これからも、大量生産でつくられたものは必要とされます。
一方で、質を重視する生活者は確実に増えていきます。
質とは、モノそのものの品質だけでなく、「感性価値」と言って、ユーザーの心を満たす、抽象的な価値を指します。
現代は、感性価値を求める生活者が増えています。
番組では、親子は結論は出せませんでした。
しかし、未来を作っていくのは息子さんです。お父さんは、息子さんの方針を受け入れるしかないと覚悟をしているようでした。
モノの豊かさから心の豊かさへ、時代の変遷を象徴した番組でした。
僕は、番組を見て思いました。
この養鶏場は社員を雇用していないのでまだ良いが、社員がいたら大変だろうなと。
大量生産の経営と、質重視の経営では、まさに「遺伝子が違う」というほどに経営のあり方も、やり方も、求められる人材も、教育も違います。
大量生産のマネジメントは、一極集中の管理体制を敷きます。
手順書に従い効率よく作業ができる人材を求め、育成します。その様子は、まさに、ケージに並んだ鶏のようです。
一方、感性価値を生む経営は、全てが真逆です。
放し飼いの鶏のように自由に活動します。モノではなく、顧客という「人」にフォーカスした創造活動がメインになります。
経営者は、自分の意識を変えるのにも苦労するのに、とても大変なことだと思います。
でも、間違いなく言えることは、経営者の強い思いと決断が第一歩だということです。
そして、自分たちが変わらなければ、社会の変化によって強制的な変革を求められることになるということです。
最後に…
小さな会社で大量生産の仕事をやると、本当に寝る暇もないくらい忙しくなります。
番組では、息子さんがお父さんの前で、これまで伝えたことがなかった気持ちを伝えていました。
「父さんが身を削って働いてくれたお陰で、僕は大学にまで行くことができた。本当に感謝しています」
どちらを取るか?よりも大切なことがある…NHKの番組を見て、そんなことを思ったのでした。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。