人材育成の効果を高めたければ、学ぶ前に「悩む」時間をつくること
社員に成長してほしいと思ったら、できるだけ不親切な学びを用意することが大切だと考えています。
禅問答のように、考えても考えても正解にたどり着かないような学びです。
人は、正解か分からず、もがき悩んだ時に最も成長するからです。
このような学びは「一次的な学び」の中にあります。
学びには、「一次的な学び」と「二次的な学び」があります。
一次的な学びとは、自分で課題を持ち、自分の手足を動かし調べ、掴んだ学びです。
例えば、子どもが、「カエルにへそってあるのかな?」と疑問を持ち、田んぼに行ってカエルを捕まえて調べるようなケースです。
田んぼに行くのも、カエルを捕まえるのも、へそを探すのも、苦労が伴い時間もかかりますが、学習効果は非常に高くなります。
二次的な学びは、親や先生に聞いたり、インターネットで調べたりする学びで、誰かが学んだことを学ぶという学び方です。
悩まずに学ぶことができますが、深い学びからは遠ざかります。
理想は、一次的学習、二次的学習、両方のハイブリッドです。
カエルにへそがあるか関心を持ち、田んぼに行き、自分なりに調べた後に、カエル博士が目の前に現れたら夢中になって話しを聞くでしょう。
そのためには、子どもが「カエルにへそってあるのかな?」と関心を持つのと同じ状況をつくる必要があります。
具体的には、仕事のプランを自分(たち)で決めることです。
人は参画した分だけ、物事を自分事にし関心を持ちます。
プランを遂行する時に、「どうやったらできるのか?」といった疑問を持ち、自分なりに考えます。
この一次的な学びの後に研修などをやると、文字通り、「砂が水を吸うように」学習します。
当社では、新聞業界が衰退期に入ったことで、新聞以外の商品を販売する必要に迫られた時期がありました。
切実な問題です。
社員が、その切実さに気付いたのは、決算書を公開した時でした。
年々、業績が落ちていくのを見て、「まじ!?ウチ、このままじゃヤバいじゃんよ…」となったのです。
しかし、それまでは、「新聞はとって当たり前」という風潮の中での商売だったので、ものの売り方なんて勉強したことはありませんでした。
そこで、自分たちなりに販売が上手な会社の真似をしました。
そんな時に、友人から、チラシの作り方のビデオ教材を紹介され、社内勉強会をしました。
その時は、自社史上最高の学習効果を発揮しました。
もし、僕が一方的に、「これを学んで」とビデオを紹介したら、こんなにも真剣に学ばなかったと思います。
「人は参画した分だけ、物事を自分事にする」…プランに参画し、悩むことが、一次的な学習の意欲を高める秘訣だと考えます。
その後に研修などをやるという手順が、学習の費用対効果を高めるというわけです。
というわけで今日も素敵な1日をお過ごしください。