荒んだ社風をつくる評価制度の2つの間違い
5月に、久しぶりに賃金セミナーを行います。
今回は、賃上げムードの高まりの中に開催するということで、いつもと違う内容になりそうです。
毎回、賃金セミナーでは、質疑応答の中で評価制度に関する質問が多く出ます。
皆さん、どうも評価制度にしっくりきていないようです。
東洋経済オンラインの調査でも、会社員の8割が自分の評価に納得していないという結果が得られました。
中には、「正当に評価されないのなら、頑張らない」という破滅的な声もありました。
今日の記事では現行の評価制度の問題点と対策について考えたいと思います。
❚評価が「過去の精算」に成り下がっている
そもそも評価は何のために行うのでしょうか?
この目的がおかしくなっているケースが非常に多いと感じています。
評価は人と組織が成長するために行います。
未来志向であるべきです。
しかし実際は「過去の精算」になっていることが多いのです。
もともと、評価制度の始まりは、頑張った社員、成果を出した社員から、「こんなに成果を出したのに、他の人と同じじゃ納得いかない」という不満が発端であることが多いようです。
リーダーも優秀な社員の意見なので無視できない。
こうして始まった評価制度は「賞与や昇給などの処遇を決めるため」が目的になります。
では、低い評価を受けた人は、「次はがんばるぞ!」と張り切るかといえば、そうとも限らないのです。
「低い評価をウケて、ボーナスを減らされた=罰を受けたんだからチャラ」と考える人が結構いるのです。
これが過去の精算という意味です。
評価は人と組織が育つために未来志向で行うべきだと考えます。
❚評価のポイントが間違っている
もう1つの問題は評価ポイントのズレです。
多くの企業で「業績への貢献度」という基準のウェイトが高いと思います。
僕も社長時代、長期間この基準で行ってきました。
しかし、これが様々な不条理の原因だったと気付いたのです。
企業は次の3層構造で構築されています。
1、想い
2、ビジョン
3、やり方・手法
まず、「こうありたい」というメンバーみんなで共有された思いがあります。
「人間的な成長を大切にしたい」
「自己実現、夢が叶う会社にしたい」
「お客様に感動される仕事がしたい」
と言ったものです。
次に、その思いが実現したビジョンがあります。ビジョンとは文字通り、「目を閉じればその未来が動画で再生されるリアリティ」を持ったものです。
最後に、ビジョンを実現する方法・手法がきます。
思いを土台に3つが積み重なっているのであって、独立して存在しているのではありません。
下がないと上はないし、下が変われば上は変わります。
評価は3つのどの部分で行われているでしょうか?
上手くいかない評価制度は、一番上の「方法・手法」に重きが置かれています。
「期間中(半年など)成果を出したか、あるいは、成果を出すすための行動をしたか?」という評価です。
「やり方、手法」の評価に偏ると、意識が「思い」から遠ざかり、経営理念が形骸化する傾向があります。
思考が短絡化し、短期的に成果が上がる仕事しかしなくなります。
短期的に成果が上がる仕事の多くは、長期的に損をします。
例えば、営業の世界では、短期成果を求めると、強引な営業や、顧客に無理なお願いが増え、信頼を失い、長期では損をするという不条理が起きます。
未来志向の評価を行うと、自ずと、理念に基づく評価を行うようになります。
しかも、処遇を決めるためではなく、自分帯が成長するために行われるようになります。
というわけで、「やり方、手法」に評価が偏り、評価が処遇を決める手段にならないように注意しましょう!
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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