これからの経営には、「決算書に載らない、数値で評価できない価値」を観る力が求められる

経営は「スペック」だけでは評価できない時代になりました。
ここで言うスペックとは、数値のことです。

経営の、あらゆる面でスペックでは測れない価値が増えてきています。

大量生産・大量消費の時代では、よりスペックの高い製品がもてはやされました。テレビでは「解像度」、クルマでは「燃費性能」といったものです。
低価格というスペックで勝負をする商いも盛んでした。
この時代の主役は製品、サービスでした。

それが、30年ほど前から、ユーザーの側に価値を見出すようになりました。ユーザーにとって優しい、使いやすいといった価値に移行しました。
典型は、人間工学に基づいて作られた製品です。
主役が人間に移り変わったと言えますね。

今は、「感性消費」の時代です。
数値では評価できない領域に突入しました。
例えば、あるビールメーカーでプルタブの研究をしている方の話を聞き、驚いたことがあります。
プルタブの研究と聞き、僕は、「開けやすさの研究ですか?」と聞いたところ、「それは人間工学の分野です。」と言われました。
その方が研究しているプルタブは、「開けた瞬間に、スカッと、勝利のイメージを想起するもの」だと言うのです。
顧客が欲しているものが「祝杯という特別な体験」だと捉え、その演出を高めることをミッションにしているのです。

内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、心の豊かさを重視すると答えた人の割合が、モノの豊かさ重視すると答えた人を上回っています。
よく、「モノよりコト」が重視される時代と言われますが、その裏付けと言えます。

企業も数値では評価できない要素が増えてきました。
企業の価値評価は決算書で行いますが、そこには載らない価値があります。
例えば、顧客との信頼に基づく、「関係性資本」は貸借対照表には載りません。
社員のエンゲージメント(エンゲージメントとは仕事に対してのポジティブで充実した心理状態、働き甲斐)も同じです。

これらは、アンケートで強引に数値化することはできますが、数値では実態を掴むことは困難です。というか、何がなんでも数値化しないと気が済まないんですね…

決算書に載らない「感性価値」が、心の豊かさの時代では、繁栄の礎をつくります。

もちろん、数値が無用というわけではありません。
すべては、最終的に決算書に表れます。
しかし、決算書だけを見ても、背景にある感性価値は分からないのです。

僕は、ホワイト企業大賞に応募された企業さんにインタビューをし、審査をする際に、目に見える、現象化されているものを糸口に、目に見えない感性価値を探るように心がけています。
すごく大変な作業で、インタビューの日は、夜、眠れなくなるほどです。

スペックと違い、感性価値は他社と単純比較をすることができません。
矢沢永吉とBTS、どちらが魅力的か?と聞かれても、それは人それぞれです。

数値を「見る」だけでなく、感性価値を「観る」経営に…この傾向は益々、加速すると思います。

僕は、その方が、人間性があって好きだな。

というわけで、今日も素敵な1日をお過ごしください。

 

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