「従来の発想に縛られず」という挨拶こそ従来の発想に縛られているという残念

私たちは、自分でも自覚できていませんが、「精神的な足かせ」で思考が縛られています。
何かを考える時に、自分の軸ではなく、他者の評価軸で考えるという足かせです。

例えば、社員さんは、「上司に評価されるかどうか?」で自分の考え方や行動を決めることが多いと思います。
どうしてそうなるかと言えば、子どもの頃からそういう訓練を受けているからです。

子どもは10歳くらいになると大人が喜ぶ行動を知っていて、それに基づき行動をします。

運動会は、大人のために芸を披露するイベントですからね。
入学式や卒業式の、子どものスピーチだって、みんな同じです。
親も親で、「今日もいい子で先生の言うことを聞いた?」と聞く始末です。
「今日も先生の評価ではなく、自分の意思で生活した?」なんて聞く親はほとんどいません。
僕もそうではなかったけど。

また、大人(上司、講師)は質問に対し「良い質問ですね」なんて池上彰のモノマネみたいなことを言います。
質問に良い悪いはない、分からないから聞いただけなのに、評価をされると質問がしづらくなります。
「こんな程度の低い質問をしたら、馬鹿にされるかも」と思ってしまいます。

このように、気づけば、足かせを付けられる世の中なのです。
何とかしなくちゃ、と思い、僕なりにできることから始めています。

例えば、僕は学校で夢新聞の活動をしています。
人生の物語を紡ぐ思考を訓練するプログラムで、これまでの自分の人生(過去)と、現在と、未来を紡ぐ物語を、1枚の新聞にするワークショップです。
大変な思いをした人は、「その体験をした自分だからできることは何だろう?」と考え、未来を紡ぎます。

僕はワークショップの冒頭に、子どもたちにこう伝えます。

「今日は、どんな夢新聞を作ろうと、ワーク中にどんな行動をしようと、一切、評価はしません。褒めることもしませんので」

このひとことはインパクトが大きいようです。

以前に、社内研修を行った会社には、完全に、他者の評価の呪縛から解放された社員さんがたくさんいました。
同社の研修後、こんな質問をしてきた社員さんがいました。

「組織が指示ゼロ経営になると、出生率が上がると思うんですが」

また研修翌日に、別の社員さんから、メールでこんな質問がきました。

僕が作った資料の中にある、組織成長をイメージした図解に関しての、素朴な疑問です。
僕が大雑把なだけという(笑)

他者の評価で生きていないという事が、こういうところで分かるのです。

この、がんじがらめの現代社会において、養殖ではなく、天然に育っている人たちがいるなんて、僕はとても嬉しくなると同時に、心が温かくなったのです。

「足かせ」を外すにはすごく時間がかかります。

もし、社員さんに「従来の枠組みに縛られずに」ということを建前ではなく、本心で願っているなら、時間がかかっても取り組むべき課題だと考えています。

誰も縛らない、誰にも縛られないあなたが大好きです。

それでは今日も素敵な1日を!

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