指示ゼロ経営は、「つくる」ものではなく、「なる」もの

この時期になると、自家製の野沢菜漬けがおしまいになります。
最後の方は、発酵がピークに達し、酸っぱくなります。
これが美味しいんだよね。

毎年、年末に妻が野沢菜を漬けてくれます。
樽の中に野沢菜と塩と昆布、鷹の爪、少々の砂糖を入れて、放っておくと野沢菜漬けに「なる」のです。
妻は、自分の手で野沢菜漬けを「つくっている」という感覚はありません。
条件を整えて待つと「なる」のです。

これが指示ゼロ経営、自律型組織にも言えると感じています。

自律型組織は、つくろうと思うと遠ざかります。
リーダーの手によってつくられたものは自律的とは言えません。
自分たちの考えと行動の積み重ねによって、「気付けばなっている」…そんな感じなのです。

あるチームの事例を紹介します。
そのチームのリーダーは、部下をグイグイと引っ張るタイプではありません。
そんな性格に加え、正解が分からない時代において、部下に的確な指示を出せず、非常に悩んでいました。
リーダーを辞退することも考えたそうです。

そんな時に指示ゼロ経営の存在を知ります。
ミーティングを開き、部下に、自分の悩みを正直に打ち明けました。
そして、指示ゼロ経営にしたいという希望を伝えました。

しかし、あまり積極的な反応は得られませんでした。
自発的に行動した方が良いということは、頭では理解できるのですが、気持ちが前向きになれないのです。
「本当にそんなことができるの?」「責任を押し付けられるんじゃないか?」と。

そこで、リーダーは言いました。
「指示ゼロ経営にするかどうかは別にして、みんながハッピーに働けるチームがどんなものか考えようよ」

これは、部下も望むテーマです。

話し合いでは、「困った時に助け合えるチーム」「自由に発言ができるチーム」「成果を出せるチーム」「仲間のことを理解し合うチーム」「メンバーが自発的に動くチーム」など、様々な意見が出ました。

リーダーは、「じゃあ、どうすれば理想のチームになれると思う?」と問い、部下にアイデアを出してもらいました。
もともと、望んでいるテーマであることに加え、具体的なアイデアが出たことで、実現への希望と意欲が高まります。
出たアイデアを、できることから1つずつ実行し、定期的にミーティングを行い、進捗を確認しました。

徐々にではありますが、チームの雰囲気が良くなっていきました。

お分かりいただけますでしょうか?
このチームは、気付けば、指示ゼロ経営になっていたのです。

この実践のポイントは5つです。
□メンバーが望むことをプロジェクトにする
□適度な難易度であること
□リーダーは「問い」に徹すること
□定期的にミーティングを開くこと
□できることから始め、リーダーは急かさず、「なる」のを待つこと

野沢菜漬けのように、環境を整えて見守ったことで「なった」という好例です。

指示ゼロ経営は「急がば回れ」です。
環境設定と見守る心が最も大切だと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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