人への投資が必要な時代なのに、設備投資ばかりが増える日本企業はどうなる?

以前の大量生産・大量消費の時代とは、企業繁栄の方程式が変わってきたと強く感じるようになりました。

60年ほど前、生活者はモノに飢えていました。
テレビ、洗濯機、冷蔵庫…欲しいものだらけです。
そうしたモノたちを手にしても、よりスペックの良い新製品が出ると買い替えを繰り返しました。
旺盛な消費意欲と人口増加のおかげで、経済が急成長したわけです。

この時代の繁栄の方程式は「効率性」です。
いかに効率よく作り市場に流すかが命題でした。

僕が大学卒業後に就職したドラッグストアがそうでした。
仕事はすべてロジック、左脳で行います。(厳密には脳の機能は左右で分かれていないそうですが)
この季節に目玉商品の値段をこれだけ下げると、何人の集客効果があるという、過去データに基づき意思決定をします。
コントロールするのは価格、仕入れ数…数字だけです。
とてもドライな商売です。

そんな時代が変わり、本格的に「創造性」が求められるフェーズに入ったと感じています。

現代の生活者は「欲しいモノがない」と言います。
これは正確には、「自分が欲しいものが分からなくなっている」ということです。

優秀な商人は、「それを気づかせる力」に長けています。
例えば、僕は今、緑に囲まれた生活を送っています。

キッカケは妻とコインランドリーに行く途中、クルマを運転していたら偶然に発見した花屋さんでした。
クルマを運転しながらでも素敵な店内の様子が分かるお店でした。
洗濯をしている間、「ちょっと寄ってみるか?」となり、お店に入った瞬間、そこには「緑に囲まれる素敵な空間」が広がっていました。

演出がすごく上手で、植物そのものではなく、「植物に囲まれた生活」をイメージさせるのです。
僕も妻も、「こんな生活がしたい」とワクワクして、その場で観葉植物を3つも買ってしまいました。

僕も妻も、まさか洗濯から帰ったら緑に囲まれた生活を始めていたなんて、家を出る前は夢にも思わなかったことです。

もし、その花屋さんが「モノを効率よく市場に流す」という発想で商売をしていたら、僕も妻も買わなかったでしょう。
だって、「観葉植物」は欲しくないからです。

我々が欲しかったのは「いい生活」だった。でもその実現法を知らなかったのです。
それに気づかせてくれたのが、この花屋さんだったというわけです。

こうした仕事は、相当な創造性が求められます。

創造性は人間だけが生み出せるもの。
だから、これからの時代は「人への投資」が欠かせないと考えるのです。

しかし、いまだに「以前」を引きずっています。
その証拠に、経済産業省が作成した「未来人材ビジョン」を見ると、投資家が中長期的に大切な投資として「人材への投資」を最優先に上げているのに対し、企業側は「設備投資」と答えています。

人が企業繁栄の礎になる時代。
人間ならではの力が最高に発揮されることにお金と時間、エネルギーを割くことが繁栄を決めると言っても過言じゃない。

人材育成
予算計画
経営の目的

根本から見直す時期に来ていると感じるのです。

それでは今日も素敵な1日を!

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