頑張っても成果が出ない、愉しんだ時に成果が出る
企業の上層部には数値目標だけを下に押し付けて、「どうすればその成果が出るか?」の発案を放棄している人がいます。
「どうすればいいですか?」なんて聞くと「それを考えるのがお前の仕事だろ!」って怒られることも(笑)
東芝の不正経理の問題も、そんな背景があるんじゃないかと思います。
社長から「チャレンジ」と称した業績改善の指令が下り、結果的に利益水増しに走りました。
解決策がないから数値を操作するしかなかった。
今日は、結果には原因があって、それを整えることが大切ですから、そこに集中できるようにした方がいい。
それを邪魔するのが上からの煽りだという話です。
アメとムチで釣ると創造性と自発性が落ちる
僕は以前に、新聞店の応援セールスに入ったことがあります。
それがすごいんですよ。
いかついオジサンたちが「そのスーツどこで買ったん?」っていうような格好で、わっさわっさ集まってくるんです。
で、リーダーが「契約を取れるまで帰ってくるな!」とか言う。
契約を取らずに帰ると、家畜のような扱いをされるんです(笑)
しかも大雨の日だった…
普通の人は、脅されたり煽られたりすると自発性と創造性は発揮できません。
あと、報酬で釣った場合も、それに意識が奪われてしまうので同様です。
行動はするんだけど、成果が出るようなクリエイティブなアイデアは出ないんです。
で、結果的に結果が出ない。
それがよく分かる面白い実験があります。
「ソーマキューブ」というパズルをA、B、2つのグループにやってもらいました。
課題の完成形を示し、それを作って!と指示を出すんです。
それを3日間行います。
で、グループAには完成したら報酬を差し上げます、と提示しました。
グループBには報酬はありません。
そこで何を観察するかというと、休憩時間の過ごし方です。
1日目は、どちらのグループも平均3分半?4分ほど、そのままパズルに取り組んでいました。
2日目は、報酬を約束されたグループAはパズルの完成に情熱を傾け、休憩中も平均して5分以上パズルに取り組みました。グループBは前日とほぼ同じように休憩時間を過ごしました。
そして3日目、グループAに対し「報酬が1日でなくなってしまったので、今日は報酬は無い」と伝えました。
ここに面白い変化が生まれました。
グループBは初日、2日目よりもさらに長い時間、休憩時間にもパズルに取り組むようになりました。熱心さが増したのです。しかし、グループAのパズルに取り組む時間は前日より大幅に減りました。
「金にならんならやらん」ってなっちゃったんだよね。
これは報酬ではなく脅された場合も同じです。
アメとムチで人をコントロールすると、自発性と創造性が破壊されるということです。
成果につながるプロセスを楽しむ環境を整える
自発的に、愉しく熱心に取り組んだ時にしかクリエイティブな発想は生まれません。
だから、報酬や脅し、煽りで人を動かそうとすると上手くいかないんですね。
成果が出るまでのプロセスを愉しめないと結果が出ないということ。
特に、今の時代…創造性が求められる時代には、報酬や脅し、煽りで人を動かすのはご法度だと考えます。
で、そうすればいいか?って話ですが、プロセスを楽しめるように、プロセス中心のアイデア会議をすることだと考えています。
そもそも原因と結果の因果関係を紐解くのって面白いものです。
ゲーム性があるからね。
「これをやったら、こんな風な反応があるじゃない?」とか、すごく楽しい作業です。
だったらその楽しい作業をみんなで考えればいいって単純な話です。
もちろん、成果に対する意識と危機感はとても大切です。
でも、それを上が煽ってはいけないということ。
煽らなくても、経営の現状を公表して「そこにあるもの」として認識を共有すればいい、そしてそれが改善さなかったらどうなるかを確認するだけだと考えています。
それを公表せずに煽るのは、社員を子ども扱いしているってことです。
煽って成果が出るんだったら、誰でも社長になれますわな。
パズルと同じように、商売は本質的にとても楽しものなので、それを純粋に愉しめる環境を整えることが社長の役割です。
厳しい顔して煽るよりも、愉しめる環境をつくる方が何十倍も難しい、「ビジネスは甘くない」と煽っている会議に出て、そんなことを思っています。
あ、応援セールスの話ですが、一番成果をあげた方は、雨の中あえて傘をささずに、びしょ濡れでお客様宅に訪問して「手ぶらでは帰れないんです…トホホ」ってお願いしたみたい(笑)
カラダ張ってんな〜
それでは今日も素敵な1日を!