経営理念が絵に描いた餅で終わる組織と、行動の礎になる組織との決定的な差
先日研修でお邪魔した企業が本当に素晴らしかった。
何が素晴らしいって、ともすれば絵に描いた餅になりがちな経営理念が、しっかり社員さんと共有されていたのです。
経営理念はいわば「秘伝のタレ」だと思います。
作った当初は味がないが、徐々に熟成されていくもの。
やがて、その会社独自の文化、風土になっていく。
それは集団の中に埋め込まれたものなので目に見えません。
その組織の中に身を置いて一緒に活動をすると肌で感じるものだと思います。
先日、研修でお邪魔した企業さんとは、福井県坂井市の「株式会社ザカモア」(西村 拓朗社長)です。
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素晴らしい秘伝のタレが醸成されていました。
ウェブサイトを見ると社員さんの最高の笑顔が見れますが、この笑顔は撮影用に作ったものではなく素の笑顔です。
研修中にこの笑顔が炸裂するのです。
イキイキ、ワクワク、ノビノビ、スクスクという言葉がピッタリ。
さて、研修中に「自分たちはどんな仕事がしたいのか?」という問いを投げ、みんなでディスカッションしてもらいました。
そこで若い社員からこんな言葉が出ました。
たのしく仕事をする。たのしいの字は『愉快の愉』です
これがめちゃくちゃ深い。
自分たちが仕事を最高に愉しむことが顧客にとっての価値を生み出すと考えているのです。
その価値とは「感動」です。
同社の経営理念は「感動をつくる!」です。
話をよく聴くと、愉しさのためには仲間とともに人間的に成長すること、やらされではなく主体的に仕事を創り出すこと、顧客に悦ばれること、相手を慮ること、限られた時間を大切にすること…とても成熟した意見が飛び出すのです。
そして、既にこうした事が現場で実践されていて、たまたま研修中に言葉で表現されたという感じでした。
非常に民度が高いのです。
こうした風土は一朝一夕には醸成されません。
まさに秘伝のタレ、自分たちの一挙手一投足の積み重ねで時間をかけて醸成されるものです。
そのためには、「終わりなき課題への問い」を持つことが欠かせません。
同社では「感動をつくるとはどういう事か?」を問い続けてきたのです。
完成形がないから常に最新の考え方に更新される、行動しては更新、行動しては更新、この繰り返しが秘伝のタレを作っていくのだと思いました。
行動は経営理念に基づきます。
研修では指示ゼロ経営を現場で実践するにあたり、自分たちで何かしらのプロジェクトを立ち上げてもらいました。
自分たちで考えてもらうと当然、自分たちの関心事をプロジェクトにします。
例えば、有給休暇の取得率UPといったものを上げる事が多い。
それが悪いわけではありません。
同社の社員さんは、「感動をつくる事に繋がるプロジェクト」という基準で考えていたのです。
それが関心事だからです。
話し合いの最後の最後まで、誰かが「このプロジェクトで本当に感動が作られる?」と問いを投げかけていたのが印象的でした。
その間、社長は離れた場所から見守るだけで口を挟みません。
これもなかなか出来ることじゃない。
同社は十数年で自社の秘伝のタレを作りましたが、その背景には繰り返し行われてきた、永遠に答えが出ない問いへの挑戦と対話があったのだと思います。
同社の好業績は秘伝のタレの賜物であり、ちょっとやそっとではビクともしません。
さて、御社の秘伝のタレはどんなものでしょうか?
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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