社長が自分ではない「何者」かのふりをしてカッコつけると組織は行き詰まる
よく「立場が人をつくる」と言いますよね。
テキトーだった人が役職に就いたらちゃんとした人間になることはよくある事です。
しかし、ちゃんとした後に大きな罠が潜んでいます。
それは本来の自分と建前の自分の2人の人間を生きることで生じる弊害です。
僕にはその経験があります。
僕は24歳で社長に就任しました。
先代が急に末期がんになり大学を卒業した3ヶ月後に社長に就任しました。
知識も経験もない、人に使われた経験が3ヶ月の人間に経営ができるほど世の中、甘くありません。
しかし、僕は「どうせ社長になったのだから思いっきり楽しもう」「色んなビジネスに挑戦しよう」と希望に満ちていました。
しかし、就任のお披露目会の席で、ある古参社員が僕に言いました。
「あんたの両肩にウチら従業員とその家族の生活がかかっているんだからな」
取引先からは…
「この業界に骨を埋める覚悟でやってくださいね」
そして、別の古参社員は…
「社員1人1人にお酌に回って労をねぎらって愚痴の1つでも聞かなきゃ」
一瞬にしてズシッと重い呪縛がかかりました。
それから僕は「立派な社長」を演じるようになりました。
勤勉、質素倹約、社員思い…
朝、誰よりも早く会社に行きトイレ掃除をしました。
クルマは中古のオデッセイ。
全て素の自分ではない「社長っぽい」振る舞いです。
社員の前で遊んだ話、プライベートな話なんてできませんでした。
さて職場はどうなるか?
当然ですが本音で話せる雰囲気などありません。
いつも表面的なコミュニケーションばかりで、肝心な話、本当に解決しなきゃいけない事の話ができないのです。
幸い僕には素晴らしい先輩やメンターがいたお陰で、とても怖かったですが、仮面を外すことができました。
あ、今笑ったでしょ?(笑)
外したことで最初に言えるようになった言葉は、「オレは金持ちになりたい」です(笑)
そうは言ったが、本当は社員を仲間と言える関係を作りたかった、本音で話がしたいだけだったんですよね。
僕のその思いは十分に伝わったと思います。
僕が本音を言ったことを社員はとても喜んでいるようでした。
組織に自由の風が吹き込んだ瞬間だったと思います。
素の自分を出しエネルギーあふれる日々を送っていると人は少しづつ成長するものだと思います。
自分が満たされると他を慮る気持ちが生まれ、無理して演じていたものが素で出来るようになっていくのだと。
自分ではない「何者」かのふりをしてカッコつけずに、今の自分に良し悪しのジャッジをせずに正直に生きることが大切だと思ったのです。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!
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