「自社に合う人を採用する」ことに潜む危険性

僕は人材育成よりも採用の方が先に手を付ける大事だと考えています。
価値観、考え方、能力などが自社が望むものと合う人を採用することだと。

その理由は、人は「無いものを出せ」と言われても出ないからです。
例えば、コミュニケーション能力。
コミュニケーション能力がない人に「出せ」と要求しても出ないものは出ないのです。

こうした性質は時間をかけて培ったもの、あるいは生まれつきかもしれません。
変わるには何十年もかかると思います。

というか、他人の性質をビジネスのために変えるなんて傲慢な行為だとさえ思っています。

性質には表裏あり、欠点はひっくり返せば長所になります。
コミュニケーション能力がない人は、黙々と精度が高い仕事に長けているかもしれません。
その人の性質が活きる職種に就くことはとても大事。

さて、だからこそ持っている人を採用する事が大切だと考えるのです。

自社に合う人を採用すること。

ところが、ここで重大な問題に直面します。
それは、「自社に合う」の基準です。

価値観なのか?
目指すビジョンへの共感度なのか?
具体的な能力なのか?

何を基準に「自社に合う」を考えるのかはとても重大な問題です。
なぜならば、あまり細かな要件まで求めると多様性がない組織になる危険性があるからです。

価値観もビジョンも持っている能力も統一された集団は「どこを切っても金太郎飴」で多様性に欠けますよね。
変化に対応できず、これからの時代では苦しい。

どの基準に定めるかには正解はなく、企業によって違うわけですが、どれが譲れなくて、どれが譲れるかは明確にした方が良いと考えています。

例えば、僕が経営してきた新聞店では、譲れないものは価値観だけでした。

・自分の個性と仲間の個性を大切にする
・能力の凸凹を補い合う
・自分で決め行動する
・他者への貢献を悦びとする
・仕事を通じ人間的に成長する

上記により「心豊かな人生を実現する」という価値観を持った人、ここだけが譲れない部分でした。

ビジョンや能力に関してはあまり拘りませんでした。
面接の時に「居酒屋をやったら良いと思います」なんて言う人を採用しましたもん。

だからこそ、その後、誰も想像だにしなかった業態へ進化できたのだと思います。

譲れないものと譲れないものを明確にして、自社に合う人材像を描くこと。
そういう人に出会えるような採用活動をすること。

教育よりも大切なことだと考えています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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