社員のヤル気を刺激するために導入された賃金制度が上手く行かないワケ

賃金制度を、社員のヤル気を刺激するために導入、もしくは活用していたとしたら、それはとても危険なことです。

「頑張って成果を上げたらうんと報酬を上げるよ」あるいは、「成果を出せなければ給料を減らすぞ」というアメとムチの使い分けということです。

このようなコントロールは他者がヤル気をコントロールすると逆効果だということが数々の心理学の研究で分かっています。

まずはその研究について。

今から40年も前、米、ロチェスター大学で行われた実験です。

被験者を2つのグループに分け「ソーマキューブ」というパズルに挑戦してもらいました。

このパズル、組み合わせで動物や乗り物など、色んな形を作ることができる、とても楽しく、同時に知恵が要るパズルです。
さて、2つのグループのうち、1つのグループには問題が解けたら報酬を支払うと伝えました。
一方のグループには報酬はありません。

実験の終了直前に、実験者(この実験を企画した人)が「ちょっと出かけるけど、部屋から出なければ何をしても良いよ」と伝え退出しました。

観察の結果、報酬をもらったグループの多くの人は雑誌を読んだり遊んだりしていましたが、報酬なしのグループでは、その間も熱心に課題に取り組んだそうです。

報酬ありのグループは報酬をもらったことで目的が達成したから、あるいは報酬がもらえなかった=おしまいと考えます。
一方、報酬なしのグループは純粋な興味で取り組んでいるのでいつまでも取り組んだのです。

この実験から分かることは、外発的な報酬で人を釣ると、内発的な興味・意欲が破壊されてしまうということです。

内発的動機付けは創造性発動の大きな要因ですので、創造性にも弊害が出るのです。

さて、今は昔よりも格段に創造性が求められる時代になりました。
にも関わらず賃金が「社員のヤル気を刺激しコントロールする」という発想で設計、運用されていることはとても大きな問題だと考えるのです。

他者(経営者)に支配されている以上、真のヤル気、自発性は発現しません。
自分の仕事を自分でコントロールすることがとてもとても大切です。

「自分で決める→その結果を自分で受け取る」…これを体現する賃金制度が求められます。
具体的には、業績(売上総利益)に連動した賃金制度です。

業績を見れば誰でも賃金が計算できる仕組みです。

この制度を上手に運用するととても理想的な世界が実現します。

「みんなで知恵を出し力を合わせお客様に喜ばれる仕事をすることで、業績を上げ、その“おひねり”を賃金という形で受け取る」

自立したマインドが形成されます。

賃金は毒にも薬にも化ける取り扱い注意な項目なのです。

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