社長の思いやビジョンが社員に届かない根本的な理由と対処法
経営計画書を作っている会社も多いと思います。
社長はきっと会社が儲かるだけでなく社員さんの働き甲斐や福利厚生も考えておられると思います。
そして、「この思いよ社員に届け」と願っていると思います。
その思いがしっかりと共有されるために今日の記事を書きました。
ある経営者が、思いや考えが届かずにどん底にまで落ち、そこから這い上がった事例から学びたいと思います。
さて、いきなりですが、社長が作った計画書、そのほとんどが社員さんに届きません。
作ったものを発表会で伝えているだけだとしたら。
なぜならば「脳的」にそうだから。
一方的に聞いただけだと10%ほどしか記憶しないと言われています。
さらに人は参画しないことには自分事にはなりません。
社長が作ったプランは、どこまで行っても「社長のプラン」なのです。
自分事にならないと自発性は生まれません。
数年前、ある企業から研修依頼を受けました。
経営計画発表会の数日後の研修です。
研修開始直後、社長は真っ青な顔になりました。
怒り、恐れ、不安と絶望が入り混じった表情から、思わず僕は休憩を取ることにしました。
社長に聞いてみると、たった数日前に発表会をしたばかりなのに、社員さんが売上目標も利益目標も、今期のスローガンも、社長が社員のために一生懸命に考えた福利厚生も、何1つ頭に入っていなかったからです。
しかし社員が悪いわけでも社長が悪いわけでもありません。
参画不足と、計画書に会社の未来ばかりで社員さんの未来の姿が描かれていないことが原因なのです。
さて、そもそも研修の目的が「経営計画を自分事にすること」でしたから、僕は想定内の出来事として研修を進めました。
研修では「未来の新聞を作る」というワークショップを行いました。
自分たちが「この新聞(雑誌)に載りたい」と思うメディアを1つ選び、それに数年後に載ったと仮定して、その紙面を作ります。(全員で1作品を作る)
文章はすべて完了形、絵や写真も載せます。
新聞に載るということは、まずもってそれなりに社会性のある取り組みをしなければなりません。
そして…
・売上、売上総利益、経常利益などの数値
・どんな価値を生み出しどんな顧客に、どのような方法で販売したか
・社内の様子の変化(離職率が下がったなど)
・賃金がどうなったか
・紙面に社員1人1人が登場し、どんな幸せを手にしているか?
・これらを実現するまでのプロセス(物語)
新聞の制作作業が、そのまま経営計画を実行しているかのようなリアリティを持ちます。
制作を通じチームワークも鍛えられます。
さて、件の企業はどう変化したでしょうか?
一番の変化は使う言葉が変わったと言います。
それまで「社長のビジョン」「社長の目標」と行っていたのが「我々の目標」と言うようになりました。
これを「我々化」と呼んでいます。
□経営計画は発表だけでなく参画してもらうこと
□みんなが実現を望む意義ある未来、方向性があること
□未来実現のプロセスを全員参加で考えること
□会社の未来だけではなく社員さん1人1人が描かれていること
□物語性があること
以上が、社員さんが実現を強く望み自分事にする経営計画書の原則だと考えています。
新年度、これらを意識してみてはいかがでしょうか?
【未来新聞に関心がある方へ】
今日ご紹介したワークショップは夢新聞協会で開催しています。
全国に協会認定講師がいますので、関心がある方は、まずは下のフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。