本当にいい会社には完成のない「永遠の問い」がある
企業には「永遠の問い」が必要だと考えています。
どこまで進化しても完成形に到達しないテーマを持ち、時々考えることだと。
これは企業だけではなく個人も同じだと思います。
例えば、「自分の使命は何だろうか?」という問いがそう。
もしかしたらあの世に旅立つ時になって「ああ、自分はこれをするために生まれてきたのかな」と思うような、答えが分からないものだと思います。
こうした問いが形骸化せずに内包されていると、企業も個人も健全な体質が保たれるからです。
先日、明治大学の「学生のための社長学」という講座で講師をやりました。
年間を通した講座で様々な企業の社長が登壇して、自分の経験や考え方を伝える講座です。
僕は、もちろん指示ゼロ経営を伝えました。
学生がどう感じたか、とても気になりますが概ね共感してくれたと感じています。
さて、講座では最後に講師から学生へ「問い」を投げかけ考えてもらいます。
僕が投げかけた問いは以下の通りです。
「いい会社とはどんな会社でしょうか?」
どんな問いを設定するか迷った挙げ句、当日、移動の電車の中で決めました。
とても抽象的な問いですが、このくらい抽象的な問いだとしっかり考えざるを得ないと思ったからです。
誰も教えてくれない、大きなテーマを考え続けるのが指示ゼロ経営の要諦だからです。
さて「いい会社」といえば、僕の自宅から30分ほどクルマを走らせたところにある伊那食品工業株式会社があります。
僕の友人も何人か同社に勤めていますが、彼らを見ていると本当にいい会社だと思います。
そして社是が「いい会社をつくりましょう」です。
友人に「いい会社ってどんな会社なの?」と聞くと、人によって違うことを言います。
いや、正確には、「具体的な文言は違うが同じことを言っている」、そんな感じなのです。
もし同社が、経営陣がいい会社の定義を決め、それを朝礼などで唱和させていたとしたら、本当にいい会社は作れないと思うのです。
対話をすること。
この対話は直接、収益を生む活動ではないので後回しにしがちですが、とても大切な基礎工事だと考えます。
企業の活動は基礎から成り立っています。
「思い」があり→思いが実現した時の「ビジョン」があり→ビジョンを実現する「方法」があるという構造です。
一番大切な基礎をないがしろにして、方法だけを追求するとあっという間に風土が荒れてしまいます。
「思い」とは永遠のテーマ…「問い」です。
あなたの会社にはどんな問いがあるでしょうか?
問いを話し合う時間はとれていますでしょうか?
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。