指示ゼロ経営は「つくる」と考えると作れない。条件が整え待つと「なっていく」
僕の友人にバリバリの理系人間がいます。
メーカーでエンジニアをやっているのですが、2年ほど前に僕の書籍を読んでくれ感想を伝えてくれました。
「お前の本は気持ち悪い」
この野郎〜と思ったのですが、理由を聞いて納得しました。
エンジニアは「こうインプットをしたら、こういうアウトプットが出る」という因果が誰でも分かる世界で生きています。
設計図1つで世界中のエンジニアと会話ができるというわけ。
しかし指示ゼロ経営にせよ、人間を扱う分野に関してはそうはいきません。
機械とは違うのです。
しかも、1人の人間でさえそうなのに、集団になるとさらに「こうすれば絶対」という1つの答えに集約することができないのです。
だから友人は気持ち悪いと言ったのです。
さて、同時に彼は言いました。
「だからオレは人間を扱うのが苦手だ」「上司には向いていないのよ」
彼は一生、現場で働きたいと考えているのです。
さて、人と組織を扱う者は、「インプット→アウトプット」の考え方から離れる必要があります。
特に指示ゼロ経営のような自律型組織に関しては。
そもそもリーダーの手によって作られたものは「自律的」とは言いませんもんね。
だから、エンジニア的な発想が強すぎる人には向かないのかもしれません。
指示ゼロ経営は「つくる」と考えると作れなくなります。
条件が整うとメンバーの力で「なっていく」ものです。
この様子は発酵食品に似ています。
環境を整えて待つと「なる」
同時に「なる」までのメカニズムはあり、それを理解することは大切です。
「あ、段々と発酵が進んできたな〜」と理解すれば待てるからです。
先日、ある指示ゼロ経営を導入している会社の役員さんが、このメカニズムを知った上で「なっていく」変容の過程を経験しこう言っていました。
「みんなちゃんとやってくれる」
とても嬉しそうでした。
その役員の方からすれば組織はまだ未熟だとは思いますが、確実かつ段階を踏んだ成長が見て取れるので安心して見守れるのだと思います。
指示ゼロ経営は「つくる」と考えると作れなくなる。条件が整うとメンバーの力で「なっていく」もの。
ご理解いただけましたでしょうか。
それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい。