自ら仕事を創造する「仕事の主」の育て方

経営者の方は社員さんにどんな仕事をしてほしいと願うでしょうか?

その願いは時代によって進化していると思います。
その昔、僕が高校生だった1987年頃、全国にファミレスが急拡大しました。
素晴らしく統一された接客に感動しました。
「いらっしゃいませ〜○○へようこそ!」と。

しかし、もはや生活者はそれでは満足しなくなっています。
今、経営者が望む仕事ぶりは「おもてなし」に代表される高度なものだと思います。

では、どうすれば、それができる社員さんが育つでしょうか?
こうした仕事は、その時、その状況、あるいは相手により柔軟に変える対応力が求められます。
決められた事をこなすのではなく、自ら仕事を創造するクリエイティブが求められる。

これが指示ゼロ経営における非常に重要な概念「仕事の主」です。
いわゆる自律型人間です。

「状況を観察しながら、最適な仕事を考え、やってみて、分析し、またやってみる」…これを指示されずとも自分自身でできる人です。

漠然と「こんな仕事ぶりをして欲しい」と願っていたことが、具体的に定義されるとイメージが湧くと思います。

そして、このイメージを社員さんと共有することが大切です。
イメージが鮮明じゃないと、どう成長して良いか分からないからです。

だから、今日の記事は社員さんと共有して欲しいのです。

さらにリアルなイメージで紹介します。
僕が経営してきた会社は社員数50名の新聞販売店です。
50名のうち30名ほどが配達員です。

新聞配達は単純作業です。
さらに朝早く休みが少ないという、苦労人のイメージが染み付いています。
だから、配達員の中には「自分の仕事は底辺」だなんて言う人もいました。

僕も正直、新聞配達員が仕事の主になるのは難しいと思っていました。
でも、当社の配達員はやってのけたのです。

具体的には、消防団を熱心にやってきた配達員が、新聞を配りながら地域の安全点検をするという活動です。
例えば、独居老人宅で前日の新聞や郵便物がポストに刺さったままの場合、中で倒れている可能性があります。
その場合、安否確認をします。

お客様から頻繁に感謝の手紙が届くようになった

最初はたった1人の配達員が始めたことですが、実際に命を救う事例が出ると、みんながやってくれるようになり、今では全社的な活動になり、行政から安否確認のインフラとして認定されています。

僕が感動したのは、ある高齢の女性の言葉です。

「私は目が悪いから新聞は読めないんです。でも、”あの人”が配ってくれているうちは新聞は止めません」

新聞配達は朝早いのでお客様は配達員の顔も名前も知りません。
でも、その存在を感じ感謝してくださるのです。
この言葉を聞いた配達員は涙を流し喜んでいました。

同時に、僕自身に指示ゼロ経営を世に広げる決意ができた瞬間でした。

いかがでしょうか?
これが仕事の主だけが味わえる悦びです。

僕はどんな職種でも仕事の主になれると考えていますし、それが成熟社会を生き抜く企業にとってのキーリソースになると思っています。

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