ビジネスモデルは喜びの循環モデルであり、喜びの動きが富を生む

僕が30代の頃、師匠から「お金は媒介だよ」と言われたことがあります。
唐突に言われたので戸惑いましたが、当時の僕の行動を見ての深いアドバイスだったという事に気付いたのはしばらく経ってからでした。

僕はビジネスモデルを「儲けのしくみ」と教わりました。
誰に、どんな価値を提供し、どのようにプロモーションし、どう儲けるか?…こうした一連のしくみだと。

僕はビジネスモデルという言葉に憧れを抱いていました。
「このモデルならいける」という正解があると思っていたからです。

しかし、正解なんてないと気付いたのです。
当時、新聞店はビジネスモデルの賞味期限切れを起こし、購読者が減っていました。
そこで色んな方にアドバイスを求めると、多くの人が「宅配網を活かせ」と言いました。
買い物代行、お弁当などの宅配、あるいは企業からサンプル品の投げ込みを受注したりと。

しかし、どれも上手く行かなし、「何かが足りない」と感じていました。
そこで、どうせ正解が分からないから、とにかくお客様に喜ばれることは何でもしようと思い会社をあげて実践しました。

・夏に来店されるお客様におしぼりを出す。
・お客様にお出しする請求書に感謝の言葉を添える。
・独居老人宅に新聞を配る際は、前日の新聞屋郵便物が抜かれているかチェックする。
(抜かれていない場合、何が起きているかもしれない。その場合、安否確認をする)

こうした活動を繰り返すと、面白い変化が生まれました。
それはお客様から業務に関係ない連絡や、時には相談をされるようになったのです。

「今の行政にはこんな仕組みが必要」
「確定申告はどうやってやるの?」
「UFOを見たんだけど」笑

新聞屋に言うことじゃないだろ?と思いながら真剣に応えました。

それが今のビジネスモデルの基礎になりました。
今、当社は行政のような機能を持ち、地域の課題を地域の人たちと解決する役割を担っています。
地域活性化を事業にしています。

この事業が完成した時に、冒頭の師匠からの言葉を思い出したのです。

「お金は媒介」

喜びや感謝、驚きといった気持ちを乗せる媒介だということが分かったのです。
だから、儲けのしくみを作る前に気持ちが循環する仕組みをつくることが大切なのだと。

先日、ある方が、まさに喜びのしくみを作った事例を教えてくれました。
茨城県古河市の加藤燃料株式会社の加藤海洋さんです。
いわゆるガス屋さんなのですが、プロパンガスのインフラをベースに「喜びの循環」を作っています。

例えば、同社には「使わなくなったものを処分してくれないか?」という相談を受けるそうです。
この時点で頼りにされていることが分かりますよね。
で、引き受けた品々の中にはまだ使えるものもある。
それを単純に廃棄する、あるいはリサイクルするという手もありますが、「より多くの人が関わる喜びの循環」を生むことはできないか?と考えました。

そこで、考えたしくみがこれ。

リサイクル品を譲り受ける際に「お気持ち」を提供していただき、それをこども食堂の食券に変えるというしくみです。

このしくみの要点は、単なるメリット・デメリットの関係性ではないところです。
リサイクル品を提供する人は、単なる処分ではなく価値あるものを提供するという発想になるでしょう。
譲り受ける人は、こども食堂を利用する人の顔を思い浮かべるでしょう。

いずれ、この活動が土台になり新しいビジネスが生まれ、さらなる繁栄が実現すると思うのです。
なぜならば、喜びの循環の上にビジネスモデルができ、喜びが動く度にお金が動くからです。

内閣府の世論調査の結果によると、今、大半の方がモノの豊かさよりも心の豊かさを求めると答えれています。(国民生活に関する世論調査)

そんな時代だから、より感情エネルギーの循環を意識することが大切だと考えるのです。

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