社長が自分以外の何者かのフリをして生きると組織は活力を失う

友人との飲み会は好きだが職場の飲み会は嫌いという人って結構、多いと思います。
気を使うから、酔っ払った上司の相手が面倒だから…様々な理由があると思いますが、要するに勤務モードが疲れるのだと思います。

多くの人は勤務中は「仕事上の別人格」の仮面をかぶっています。
人は自分以外の何者かのフリをしていると心が披露します。
だから飲み会も楽しめない。

実は、これ、僕が痛いほどに体験したことです。
僕が社長に就任したのは24歳の時でした。
先代の父が急逝したため急遽、社長に就任しました。

就任前は夢がいっぱいでした。
飲み会では会社の未来を熱く語り合う場面をイメージしていました。
しかし、一番最初の飲み会で、とある社員に言われたひとことで僕は「社長の仮面」をかぶったのです。

「若社長、あんたの両肩に俺たち50人の社員と家族の生活がかかっているんだからな」

ずっしり来るひとことです。

また、飲み会では古参社員に「社長から積極的にお酌に行き、愚痴のひとつでも聞いてあげなきゃ」と言われる。

もう、飲み会が大嫌いになりました。

なんでこんな風土なのでしょうか?
それは、当時の社員は、好きでもない大変な仕事を生活のために我慢してやっていたからです。
家族からは「あんたの両肩に家族全員の生活がかかっているんだから」と言われているかもしれません。

人は自分が我慢していると、それを相手にも要求したくなります。

僕は「仕事を楽しむ」という言葉が嫌いになりましたし、社員が楽しそうに働いているのを見るとイライラするようになりました。

良い社長を演じ、毎日、誰よりも早く出社してトイレ掃除をしました。
車もできるだけ地味な中古車を選び、質素な社長を演じました。
プライベートの自分はできるだけ隠し、仕事人間に徹しました。

つまらない会社への悪循環ですよね。

人は自分以外の何者かのフリをして生きると疲れ、生きる力を失う…

すべてが嫌になった僕は、社長の仮面を外す決意をしました。
軽蔑されるかもしれない、嫌われるかもしれない、そんな恐れは杞憂に終わりました。

やりたくない時は掃除はしない。
車は中古だけど憧れのBMWに乗った。
二日酔いの日は正直にそう伝える。

みんな僕が仮面を外したのを喜んでくれました。

一番、大きな変化は、社内に雑談が増えたこと、みんながプライベートの話をするようになったこと、そして社員同士、ニックネームで呼び合うようになったことです。

つまり仕事上の別人格の仮面を外したのです。

後に、国内15000社ある新聞販売店の中でオンリーワンのビジネスモデルを作った原点は風土の改革でした。

もう、仮面、外しちゃいましょう!

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