もし職場でアメとムチの使い分けをしていたら即刻やめましょう
東京五輪で女子バスケットボールが史上初のメダル(銀)を獲得しました。
終盤にきての快挙に興奮しましたよ!
さて、決勝に進んだ段階でバスケットボール協会の会長が「金を獲ったら報奨金を上積みするかも」と発言したと報道されました。
ニンジンをぶら下げたわけですが、果たして効果はあったのでしょうか?
選手に聞いてみないと分かりませんが、科学的には「逆効果」の可能性があります。
今日は、もし、職場でアメとムチの使い分けをしていたら、即刻やめましょうという話です。
アメとムチの使い分けは自発性と創造性を破壊する
アメとムチの使い分け、ニンジンをぶら下げて士気を上げる方法は、それこそ大昔から使われてきました。
かの桃太郎も、「鬼の征伐に行くなら、きび団子をあげましょう」とモノで釣りましたからね 笑
この手法が本格的にビジネス界に導入されたのは、今から100年ほど前のことです。
フレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法が世界中で採用され、その中に人間の管理法が説かれていました。
それが今、大転換期を迎えています。
アメとムチの使い分けは、ある業種、仕事においては害にしかならないのです。
「ある業種」とは創造性を必要とする仕事です。
アメとムチなど他者からのコントロールを受けると、自発性と創造性が破壊されることがエドワード・デシらの研究で明らかになっています。
↓詳しくはこちらの記事を読んでね。
「社員の自律性が高まる環境づくりに必要な2つの要件」
一方で単純作業の積み重ねなら効果を発揮するそうです。
今、大転換期を迎えているというのはあらゆる仕事で創造性が求められているからです。
例えばレストランで、昔はマニュアル通り「いらっしゃいませ~。◯◯へようこそ〜」と言っていれば顧客は満足してくれましたが、今は「おもてなし」に代表される高度なサービスが求められます。
持続可能なモチベーションシステムを創ろう
そもそもスポーツもビジネスも、それ自体が愉しいものです。
簡単には攻略できない難易度があり工夫を要するわけですが、工夫と努力が実を結んだときの悦びはひとしおです。
愉しさの要因は次の通りです。
1、取り組みに、人に喜ばれる・社会問題が解決されるなどの意義がある
2、選択の自由、自分で決められる範囲が広い
自分で攻略法を決め、実際に試してみて検証し改善する…そんな一連の中で人の役に立つ存在に成長することが醍醐味だと思います。
こうなると、自分の行為が次のモチベーションを生む、まさに「持続可能なモチベーションの自家発電」(エコシステム)が実現します。
この愉しみの中にいる時に、最高の創造性を発揮するのはスポーツもビジネスも同じです。
もう、こんなことをしている時代じゃないと思うのです。
とは言っても、ビジネスは報酬なしには語れません。
だから業績に連動した賃金の仕組みが必要ですが、その存在感は「そこにあるだけの存在感」程度が理想だと考えます。
社員さんが、公開された決算情報(損益計算書)を見れば、自分たちの賃金がどうなるか?を計算できる仕組みです。
リーダーが「頑張ればボーナスが弾むよ!」なんて言う必要はないのです。
言うから、エコシステムが壊れてしまうのです。
繰り返しになりますが、ビジネス界は今、大きな転換にきています。
まったく新しい賃金の仕組みと、運用、そして社員さんとの関係性が求められます。