賃金を上げればヤル気が上がるか?最高のヤル気が発揮される賃金の出し方
賃金はモチベーションを支える大きな柱の1つです。
だから賃金の決め方、支給の仕方には十分な注意が必要。
でも、ニンジンをぶら下げるように「金で釣る」では真のモチベーションは発揮されません。
それどころか自発性も創造性も破壊されることが分かっています。
さらに、間違った出し方をすると社員との信頼関係も組織も崩壊してしまう危険性があると思います。
毒にも薬にもなるのが賃金です。
今日の記事は、賃金を企業繁栄の推進力にするにはどうすれば良いか?ということを考えたいと思います。
賃金が増えた喜びも3日経つと元に戻る
僕は今から20年ほど前に、賃金の決め方出し方で大失敗をしました。
何をやらかしたのか?
当時の弊社は「指示100経営」でした。
僕が理念もビジョンも戦略も決め、社員1人1人に指示を出していました。
社員も不満を抱えながらよくがんばってくれました。
そして、その御礼の気持ちを込めて賞与を増額したことがあります。
1人1人と面談をして感謝の気持ちとともに賞与を渡すと、みんなすごく喜んでくれました。
「またがんばります!」なんて言ってくれた。
でも、3日も経つと元に戻ってしまった…笑
それを見て、僕は失望をしました。
裏切られた気分になった。
「がんばる」という言葉は嘘だったのかー!と。
でも、これは僕の責任なのです。
「勝手に期待して、勝手に裏切られたと感じて、勝手に失望をした」…これが事実です。
3日で元に戻った社員を見て、より細かな指導、指示を出すようになりました。
「オレが頑張らないとダメだ」…と。
指示100経営に拍車がかかってしまったのです。
でも、これってよくある話なのです。
賃金の決め方、出し方を間違えると社員との信頼関係や組織風土を破壊してしまうことがあります。
考えてみれば、3日で元に戻るのは当たり前なのです。
社員は「何1つ参画していない」のだから。
僕が1人で決め、情報公開(決算書)もせず「ハイ!よくがんばりました」なんて社員を子ども扱いするようなことをしたから当然なのです。
賃金を「たくらむ」ことで自発的なモチベーションの柱が建つ
僕は賃金の上中下をこのように考えています。
下:社長が一方的に決め支給する
中:儲かったらその分、社員に還元する
上:賃金をたくらみ、そのために必要な利益を出していく
労働組合がない限り、社員が賃金の希望を言うことは稀だと思います。
触れてはいけないタブーになっている企業は多いと思います。
でも、本当は言いたい。
社長からすると「増やしてくれ」という一方的な要求には耐えられませんよね?
だからタブーになるわけですが、ちゃんとした制度があれば可能な話だと考えるのです。
そのためには決算書を公開することです。
全部を公開するのが怖ければ損益計算書だけでも良い。
まずは、給料の何倍稼ぐ必要があるかを確認します。
過去の決算書の「売上総利益」÷「人件費」で倍率を出すことができます。
その上でたくらむ…「年収をこれだけ増やしたいから、これだけの利益を出す→そのための仕事をみんなでたくらむ→みんなで力を合わせて仕事をする」という発想です。
この方法だと、支給のルールが明確だし、社員の十分な参画がありますから長期的に持続できるモチベーションの柱が建つわけです。
僕の失敗は「下」の方法をとったから社員が同志にならず、社長1人で悩み考えるという状況に陥ったのです。
会社を良くしたいし社員にも幸せになって欲しいという思いで頑張り、支給したのに3日で元に戻ったら、普通は失望するよね?
「上」になると賃金以外の、もう2つの柱が建ちます。
1つは、みんなでたくらみ仕事をする「仲間とやる喜び」です。
どんなにつまらない仕事でも、金にならない仕事でも、仲間とやると楽しくなることってありますよね?
もう1つは参画により自分で決められる事が増え、自分の個性や才能が活きる悦びです。
仲間に、会社に、お客様に、社会に自分という存在が承認されたという悦びです。
「賃金」「仲間」「承認」
この3つの柱が建った時に、燃えるような集団になるのだと考えています。
賃金はそのための第一の柱なのです。