トップダウン経営が向いている会社、自律型経営が向いている会社

トップダウン経営が悪いわけじゃない

これまでのトップダウン型の経営に限界を感じ、自走する自律型組織に変えようと考える経営者が増えてきました。
しかし、自社の状況に合わせ選択することが大切だと思います。

例えば以前、指示ゼロ経営の社内研修を希望された企業がありました。
最初にヒヤリングをするのですが、ある決定的な要件を満たしていないので指示ゼロ経営は必要ない、むしろ従来のトップダウン型を続けた方が良いという結論になりました。
ちょっと残念でしたが、互いにとって最善の選択だったと思います。

その要件とは何か?
それは仕事の質です。
その会社は非常に安定した事業をされており、ルーチンワークが中心なのです。
ルーチンワークは「決められた作業を」「効率よく行う」ことが求められます。
そこで求められる人材は、指示に従い丁寧に作業ができる人材です。
だからトップダウン型の方が向いているわけです。

これは良い悪いではなく、向き不向きなのです。

仕事の質と組織のあり方は表裏一体で、選択を間違えると組織力が落ちます。
なんとなく世の中がボトムアップだとか自主経営だとか、ティールだとか騒ぐと気になってしまいますが気にする必要はないのです。

工業社会から知識社会に移り変わる今、自律型が求められる企業が増える

さて、では自律型組織に合う質とは何でしょうか?
ルーチンワークとは対局にある、不安定、不確実な仕事です。

・状況の変化に合わせ柔軟にやることを変える必要がある仕事
・顧客が求めるものが高度で、創造性を要する仕事

そういう仕事をしているか、あるいは、これから始めようとしている会社が向いています。

例えば、僕の地元の友人は建設業の社長をやっていますが、先代の時代は受注事業…つまり下請けで食っていました。
しかし、受注が減り見込み事業への転換に挑戦しています。

受注事業と見込み事業は、それこそ遺伝子レベルで違います。
前者の特徴は、製品は相手が決めます。
数量も相手が決めます。
価格も相手が「これくらいで」と提示することが多い。
よほど独自の技術がない限り、こうなる宿命にあります。

対し、見込み事業は、自分で商品を作り、商品名も価格も自分で決め、自分の手で売ります。

社長を始め社員にもまったく違う感性と思考が求められます。

件の社長は、「まずは遺伝子の入れ替え」と考えトップダウン経営をやめる決意をしました。
おそらく体質が変わるまでには、ある程度の時間がかかると思いますが、まだ若いこともあって地道に挑戦を続けています。
凄いヤツだと尊敬しています。

トップダウン型が悪いわけじゃない。
しかし、工業社会から知識社会に移り変わる今、自律型が求められる企業が増えてくると思います。

選択の時だと思います。

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