期限付きのプロジェクトを任せることでチームが育つ

「終わり」を意識すると人とチームが変容する

この時期、学校にお邪魔すると「卒業式まであと◯◯日」という張り紙を目にします。
先日、夢新聞で伺ったクラスにも貼ってありました。
あれを見るだけジーンと来るんですよね。

卒業は「擬似的な死」と言われています。
終わりの瞬間が刻一刻と迫ってくるという意味で、それが人の心理に影響を与えると言います。
卒業間近って、何だか神聖な気持ちになりますよね。
これまで仲が良くなかった人とも打ち解けられそうな気持ちになります。
また、残された時間を有意義に過ごそうと思える。
まさに、死を受け入れた人の心境に似ていると思います。

擬似的な死にはエゴを和らげる効果があると言われています。
それをビジネスの現場に応用しない手はないと考えています。

よく「チームが1つにならない」という悩みを持つ人がいます。
それは個々の資質の問題よりも環境の問題である事が多いと考えています。
その環境とは…

・チーム単位でプロジェクトに取り組む
・リーダーは個々ではなくチームと関わる
・プロジェクトに期限がある

そんな要件です。

人とチームが育つプロジェクトの進め方

さて、そんな要件を満たすプロジェクトですが、まだチームが十分に育っていない場合、忘年会の企画、お客様向けのイベント企画などから始めるのが良いと考えています。
身近なことから始めて大きく育てる方法です。

進め方は次の通りです。
まずはキックオフミーティングを行い次の項目を決めます。
1、企画の内容
2、期限
3、出来栄え(成功基準)

出来栄えの設定は重要で、あまり簡単過ぎると協働しなくてもできてしまいます。
逆に難しすぎるとヤル気が出ません。
たくらみ屋の森本繁生は「出来栄えに達成するかは五分五分」が良いと言います。

次のミーティングは後日でも良いのですが、あまり日を開けない方が良いです。
そこでは、具体的な内容と、誰が何をするのか?担当決めを行います。
(担当決めは立候補制)
ここまでできたら「あと◯◯日」という張り紙をセットしてスタートです。

さて、ここからがリーダーの辛抱のしどころ。
大抵の場合、スムーズに行きません。
無関心の人が出たり、一部の人だけで進めたりとチームワークにならないのです。

しかし、ここでリーダーが仕切ると依存体質が染み付いてしまいます。
「失敗したら、そこから学べば良い」という大胆な心構えが必要だと思います。
企画の成功よりもチームの育成にフォーカスするのです。

チームが変わるのはカウントダウンが進んだ時…擬似的な死を意識した時です。
ほとんどの場合、何もしなくて終わることはなく、チーム内に何かしらの変容が起きます。
その体験が学びです。

期限が来た(企画が終了したら)成功しても失敗しても打ち上げをします。
そこで、この期間でチームに起きたことを振り返ります。
特に、締切が近づいた時に、個々とチームにどんな変化が起きたかを話し合います。

リーダーは成否よりも、変化にフォーカスし、次に活かすことを促すことが大切だと思います。

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