チームの育て上手なリーダーが「あなた」ではなく「みんな」という言葉を使う理由

人材育成とチームの育成は似て非なるものです。
自立した社員の集団が自律型の集団になるかといえばそうではない。

例えば、学校で起きるイジメがそう。
イジメをしている子を先生が指導すると、その時は分かってもらえます。
ところが集団に戻るとまたやってしまうのです。

集団には集団特有の力学があり、リーダーはそれを理解することが欠かせないと考えるのです。
優れた教員は「イジメを起こさない集団」「イジメが起きても止める集団」を育てることに長けているのです。

個を育てることも大切ですが、集団を観て集団まるごと育てるという発想です。

集団に課題を与え集団と対話する

集団を観る視点を持ったリーダーは使う言葉が違います。
「あなた」ではなく「みんな」という言葉を使うのです。
例えば、何か問題が起きた時に「みんなはどう思う?」と問います。
課題を出す時も個々ではなくチームに出します。

個々の評価は基本的にしません。
その理由は、個を評価すると「自分が評価されたい」という部分最適に陥るからです。
そこで、評価の中に「全体の成果を考えたか?」という項目を入れたりしますが、それでもスタッフは上司の評価を気にするので、どうしても全体を観ることができなくなります。
何よりもややこしいですよね?

それを、集団にミッションを与え、メンバーが「これは集団として達成すること」という意識になれば事はシンプルです。

さて、ここで1つの問題に直面します。
ひとことで「みんな」と言っても、集団の中には主体的な人もいれば受動的な人もいます。
ヤル気がある人もない人もいるし、行動する人もしない人もいます。
リーダーの悩みに必ずと言っていいほどある「温度差」が生じるのです。

すると、リーダーは、やっていないスタッフに目が行きイライラしてしまいます。
特に、最初のうちはやる人の方が少ないから絶望さえ覚えることもあります。

しかし、ここでイライラ不機嫌になるとメンバーは輪の中に入りたいと思わなくなります。
結果どうなるかと言えば、一部のメンバーは義務でやる、周りのメンバーは傍観するという構図…温度差が広がってしまうのです。

「みんな」の罠です。

優れたリーダーは「みんな」の捉え方が広い

集団を育てるリーダーは、主体的な人も受動的な人も含め「みんな」という視点で観ます。
ただ、集団の傾向を観るのです。
集団のムーブメントが広がっているか(賛同者、行動者が増える傾向にあるか?)、縮小に向かっているか?で観ます。

集団の変容は危機が起きでもしない限り一気には起きません。
最初は3%ほどのメンバーから始まり、それが20%の臨界点を超えると一気に加速します。

例えば、iPhoneが登場した時に、まだユーザーがいないのに真っ先に買う人が3%ほどいました。
やがてユーザーが増え20%を超えると、5人に1人ですので、知り合いが持つようになります。
そこで、「それ、不具合ない?」と確認できるようになり「大丈夫だよ」と言われ、ようやく買うのです。
そして重要なことは、いまだにガラケーしか持たない人もいることです。
集団はこういう構図になっていると言われています。

これら全ての人を含め「みんな」なのです。
iPhoneを後になって買う人は、最初に買わないだけで買う気がない人ではないというわけです。

リーダーはチームをこうした視点で観ることが大切だと思います。

では、どうしてiPhoneが普及したかと言えば、ユーザーが楽しそうにiPhoneをいじり、ユーザー同士で楽しそうな会話をする場面を観るからです。
しかも、その場にはウェルカムな雰囲気があり、「何それ?」と近づけば歓迎してくれます。

職場も同じだと思います。
あるリーダーは、やっているメンバーと楽しそうに会話をしますが、視点は「みんな」を向いているし、「やっぱこういう仕事がやり甲斐あるよね」と、みんなに語りかけています。
だから輪に入りたくなる。

最後に…
繁盛しているお店って雰囲気が良いですよね?
スタッフがご機嫌で働いています。

その理由は、今日の記事の内容にあるのだと考えています。

それでは今日もご機嫌で行きましょう。

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