トップダウン型の組織を自律型組織へ移行するには何から始めれば良いか?
従来のトップダウン型の経営から自律型組織へ移行するのは大変なことです。
そもそも組織が動くOSがまったく違うのだからリーダーも社員さんも戸惑うと思います。
で、変革する際に多くの人が「何から始めれば良いか?」と悩みます。
今日の記事では、企業が置かれた状況別に何から始めれば良いかを考えたいと思います。
危機に直面した企業は組織変革が早い
まずは基礎となる認識から。
自律型組織は、課題に対し…
1、自分たちで知恵を出して(三人寄れば文殊の知恵)
2、役割を自分たちで決めて
3、行動し、その結果を自分たちで検証する
これをリーダーの指示命令なしに回す「共創・協働の経営」です。
共創・協働が起きるには条件があります。
それは、「1人では解決できない課題の設定」です。
地球上から国家間の戦争がなくなる一番の方法は宇宙人が攻め込んでくることだと思います。
よく「ウチはチームワークが悪い」という相談を受けますが、僕が一番最初に確認することは「みんなで力を合わせないと達成できない課題に取り組んでいるか?」ということです。
チームワークがなくても、やっていけるような事に取り組んでいる可能性を疑うのです。
(Deutsch,M 「競争と協働」)
さて、そういう意味では「危機への直面」が最も効果的だということです。
コロナ禍において世界中で共創・協働が起きたのはこうした理由です。
危機に直面している企業の場合、リーダーが「自分1人の力では乗り切れない」と伝え、正しい情報開示を行うことで自発的な動きが活性化します。
例えば、星野リゾートの星野佳路氏がコロナの影響を受け、社員さんに向け「我社の倒産確率」を開示しました。
ちゃんとしたデータと分析による信頼性の高い情報を開示することで主体的な共創と協働が進むと思います。
一切、危機とは無縁という会社なんてないと思います。
情報開示を行いリスクを社員さんと共有すること…
これはOSの入れ替えに有効だと考えています。
皆んなが実現を望むビジョンがあるケース
危機とは無縁とは言えないが、「危機に向かっているとは言えない」という優れた企業もあります。
しかも安定した会社では組織が落ち着く一方で、活力が失われます。
行政の組織が典型ですね。
共創・協働がなくてもやっていけるのです。
この場合、自律型組織へ移行するにはリーダーが大きな挑戦を宣言することだと思っています。
今のままでは実現できない挑戦を行うことで自律的な共創が生まれたという企業は多くあります。
例えば、度々ご紹介する、岐阜市の美容室「月と風」の武藤花緒理社長は「日本で一番休みが多く給料が高く、仕事へのやりがいを感じられる美容室になる」という目標を掲げています。
楽して儲けようという発想ではなく、真に豊かな人生とは?を突き詰めた結論なのです。
これに共感したスタッフが全員参加でお店を盛り上げています。
当然、スタッフ1人1人がバラバラでは実現できません。
最高の共創が起きています。
働き方など、スタッフにとって身近な改善を自分たちで行う
危機に向かっているとは言えないし、まだ魅力的なビジョンを描けていない会社もあります。
この場合、社員さんにとって身近なことから始めるのが良いと考えています。
例えば、働き方などに関することです。
社員さんは会社に対し、何らかの不満を持っています。
労働時間が長い、強制的な朝礼がある、有給休暇を取りづらいといったものです。
こうした事は社員さんにとって大きな関心ごとで、この解決を自分たちで行ってもらうのです。
自分たちが望むことなので指示命令がなくとも動きますよね。
例えば、僕が経営してきた会社には子どもがいる女性が多くいます。
子どもの行事などで休んだり早退したりしたいが、彼女らが抜けた時のバックアップ体制が整っておらず不満を持つスタッフがいました。
当然、僕に改善を要求するわけですが、他のスタッフは別の不満を持っていて、すべてを僕が解決できるはずがありません。
すると「社長は私たちのことを考えていない」と、さらに不満を強くします。
皆んなが納得する会社は皆んなの力でしか実現できないと思います。
なので、様々な課題を自分たちで解決してもらうようにしました。
とは言っても好き勝手になったら大変です。
そこで、「全体を観て考える」という手法を使いました。
具体的には、「子どもの行事がある時には早退したい」という希望に対し、それをする事による「プラス面」と「マイナス面」を考えアイデアを出してもらいます。
マイナス面を考えずに提案するから好き勝手になるんだよね。
僕の会社では、新聞購読者の減少という危機に直面していましたが、僕にはビジョンを示すことはできませんでした。
ならば、出来ることから、と業務の改善から始めました。
スタッフは自分たちで会社を良くする体験を通じ、会社を自分事と捉え、やがて会社の業績にも関心を持ち新規事業を立ち上げるまでに成長しました。
□危機の認識
□魅力的なビジョンへの挑戦
□身近なことを自分たちで解決する
自社に合ったことから始めるのが良いと考えています。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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