主語がない会話 〜巻き込むリーダーの行動学 〜
以前に、成功するリーダーは「我々」と言う、そんな話を聞いた事があります。
主語が「私」ではなく「我々」
例えば、理念を語る時に「これが我々の使命だから」といった具合に。
抽象化をすることで、最初から「あなたの事」という前提を作り出すわけです。
これは聞いた相手の心に自分事を生む効果があるとされています。
では、ここで言う「我々」とは誰のことでしょうか?
多くの場合、組織内を指すと思います。
しかし、僕が知るある女性リーダーは、さらに抽象化された言葉を使っています。
それは「主語がない」会話です。
そのリーダーはどんな事を成し遂げたのか?
彼女の話を聞くと、どんな心理になるのか?
今日はそのリーダーの行動学について考察したいと思います。
五輪会場を借り切るイベントを行う原動力とは?
その方は高山さや佳さんと言います。
(NPO法人ハッピースポットクラブ代表、株式会社ゼロへの道のり代表取締役)
およそ12年前に出会い、僕は一瞬で魅了されました。
出会った当時、彼女はどこにでもいる、いち介護職でした。
それが数年後、長野オリンピックの会場を借り切るイベントを行い、4000人もの人を動員したのです。
しかも、集客が難しいとされる福祉をテーマに。
彼女にはある思いがあります。
それは、彼女が介護職時代に形成されました。
お世話していたあるおばあちゃんは、毎日「早くあの世に行きたい」と言っていたそうです。
しかし、それが一変した出来事があった。
地域の子どもたちを施設に招き、入所者のお年寄りに余興を見せた時に、これまで見たことがない笑顔で楽しんで、その後、気持ちが前向きになったのです。
同時に子どもたちは役に立ったという充実感を得た。
「人は、人との繋がりの中で生きる意味を見出す」
そんな思いが生まれ、老若男女、障がいがある人もない人も「ごちゃまぜ」にするイベントの開催を決意しました。
最初の年は30人、翌年300人、翌々年には1000人…
高山さんの「主語がない話」に共感した人が、イベントの出店者、来場者、クラウドファンディングの出資者、運営チーム、それぞれの立場で集ってきました。
そして、ついに五輪会場を借り切るまでに成長したのです。
私を超える我々を超える人称のない世界を語る
僕も巻き込まれた1人です。
ある日、高山さんから電話が来て「今度のイベントで夢新聞のブースを出して欲しい」と頼まれました。
最初は断るつもりでした。
丸一日仕事の上、まったく儲からないからというセコい考えが浮かんだから。
しかし10分後には「OK!任せろ!」と声を張り上げていた。
なぜか?
彼女が考える夢新聞の企画はこう。
お年寄りのファッションショーを行い、ステージ上で書いた夢新聞を発表するというものです。
ファッションショーと夢新聞が何の関係があるんだ?…最初はそう思った。
そうしたら主語がない話が始まりました。
「人の役立つことで輝く、勇気を出して一歩を踏み出すことが生きる力を生むと思うんです」
「会場中、そんなエネルギーに満ち溢れる企画にしたいんです」
高山さんの話には主語がない。
その理由は、このイベントが誰か特定の人のためではないからだらだと思ったのです。
ゴージャスなファッションに身を包み自分の夢で誰かに勇気を与えるお年寄り、声援を送る観客、運営チーム…そこに集う役者全員のことを言っているから主語がないんだと思ったのです。
「我々」よりも広い範囲の幸福を考えているからこその言葉なのです。
さらに、ここからは僕が感じたスピリチュアルな感想です。
高山さんが話をしている時、明らかに「降りてきている」のです。
自分の脳で言葉を紡いではいない。
天から降りてきたメッセージを日本語に翻訳している、そんな印象を受けるのです。
その証拠に、後になり「あの時、僕にどんな話をしたか覚えている?」と聞いても答えられないのです。
天の意思だから、そこには人称がない…主語がない話になるのだと、不思議な感覚を覚えたのです。
私を超える我々を超える人称のない世界を語る…すべての望みを統合した思いが4000人以上の場を作り出しているのだと思うのです。
まだまだ広がる予感がしてならないのです。
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