100万円超えのボーナスを「本当にありがとう!」と渡そう
社長が決め、社員が実行するという経営の限界
普通、賞与(ボーナス)を渡す時、社長が「よくやってくれた」と言い、社員さんが「ありがとうございました」と言いますよね?
この支給方法が変わると考えています。
社長が社員に「ありがとう」と言う…立場が逆になるのです。
別に、「社員を尊重しよう」という精神論の話ではありません。
逆になるのは仕事の進め方が変わるからです。
従来は、社長が戦略を立てました。
情報を下から吸い上げ、それを基に意思決定をして下に降ろします。
計画通りにやれば成果が上がり、その頑張りに報いるために賞与が出された。
しかし、今は正解が分からない時代だから「やりながら修正する」という方法が現実的です。
理念は変わりませんが、何をやるか?…方法に関しては現場と一体になり決めていく必要があります。
例えばユニクロは、以前は一極集中、トップダウンの経営をしてきました。
色が違うフリースがズラっと並んでいる、アレです。
しかし、今はお客様の好みが多様化しているし、地域によりニーズが違うので、お店に発注の権限を持たせ、状況に応じ柔軟に対応しています。
ZARAではトレンドの変化に敏感な店頭スタッフがデザイナーと直結し、商品開発を行っています。
2週間で商品が店頭に届きますから、変化の激しいアパレル業界では強いわけです。
つまり、社員さんが意思決定をする=経営に参画するウェイトが多くなります。
すると、冒頭の、社長が社員に「ありがとう」と言う、そんな関係になるのです。
変化が激しい上にお客様の好みが多様化している…つまり何が正解かやってみなきゃ分からない時代には、一極集中ではなく小規模に分散された意思決定の仕組みが求められると考えるのです。
だから、ここ数年、自律型組織への関心が高まっているのだと思います。
目標を自分事にするためには業績連動型の賃金制度が必須
さて、現場で意思決定をするために欠かせないのが情報です。
自律型組織で働く人は、上司の指示ではなく情報をもとにすべてを決めます。
だから情報開示は必須なのです。
特に経営数字…決算書の公開は欠かせません。
社員は、開示された情報から自分たちの行動を決めます。
「ウチの店ではフリースではなくジーンズが売れているようだ。ならばフリースを減らして、その分ジーンズ売り場を広げよう」などと。
そして、行動を変えたことで経営数字が良くなる体験をします。
さて、ここで重要な問題があります。
それは、自分たちが積極的に意思決定に参画し業績を上げたのに、それがどのように賃金に反映されるかが不透明だと、このやり方は成り立たないのです。
だから任せることと賃金の仕組みは表裏一体なのです。
興味がある方はこの記事をお読み下さい。
もっと詳しく知りたい方は、このセミナーにご参加下さい。
簡単に説明すると、業績(売上総利益)と賃金が連動していて、これだけの業績が出れば、自分たちの賃金がこれだけ増えるということが分かる仕組みです。
で、本題はここからです。
この仕組を応用すると、社員さんは、「これだけの賃金が欲しいから、これだけの業績をつくろう」と、目標設定に主体的に参画できるのです。
社長が一方的に決めた目標は他人事ですが、自分たちで決めたものは100%自分事になります。
まさにパラダイムシフトだと思います。
この仕組では、社員さんの賃金と同時に経常利益が増えます。
目標値は、社員さんの年収希望額と社長が望む経常利益が合致する点がありますので、話し合いの上で決めます。
年収の希望を通せば経常利益が減るというものではなく、お互いが増えるという素晴らしい方法です。
僕は社長を退任する年の決算賞与で、社員1人あたり100万円の決算賞与を渡しました。
もちろん、「本当にありがとう!」と言いながら。
こんな素敵な世界、良くないですか?
それでは今日も素敵な1日を!