これからの企業の繁栄を決める、社員幸福度という指標

クリエイティブな時代になったなと思います。
例えば、以前はレストランの店員さんはマニュアル通りに「いらっしゃいませ~○○へようこそ!」と元気に言えれば良かったのですが、今では「おもてなし」が求められます。
その時その場、相手と状況に応じ判断しなければなりません。

創造性は個人差もありますが環境で決まる部分が大きいと考えています。
それが今日のテーマである「幸福度」です。
カリフォルニア州立大学の調査によれば、幸福度の高い従業員はそうでない従業員に比べ、生産性が30%、営業成績が37%、創造性に至っては3倍も高いという結果が得らました。

幸福を感じられる働き方は企業にとって、とても大きな課題だと考えます。

従業員満足には限界がある

バブル期が終わった直後に、CS(顧客満足)が注目されました。
その後、すぐにES(従業員満足)に注目が移りました。
CSをつくり出すのはスタッフ、スタッフが満足していなければ実現しないという考え方です。

僕もご多分に漏れずESに取り組んだ時期がありました。
しかし、すぐに無理だと分かりました。
その理由は、人によって満足することが違うからです。
例えば、ある社員は休みが多い方が良いと言いますが、別の社員は休みが少なくても良いから稼ぎたいと言う。

個々が求める満足には応えられないという事を知りました。
かと言って皆んなが満足するものなんて、ありきたりなもので、せいぜい「不満ではない」止まりです。
しかも最初は良いが慣れてしまうと当たり前になる。

創造性とは無縁だということを知ったのです。

そこで、僕が注目したのは「やり甲斐」です。
満足とはニュアンスが違い、幸福感がある働き方です。

僕は昨年からホワイト企業大賞の企画・審査委員を務めていますが、そこで出会う素晴らしい企業にはこれがあります。

では、やり甲斐のある仕事とはどんなものでしょうか?
それは職種ではなく仕事への関与の仕方にあるということが分かりました。

自ら仕事を創造する「仕事の主」は幸福度が高い

同志社大学と神戸大学の研究チームによると、自分で決めることが多いほど人は幸福を感じることが分かりました。
さらに言えば、自分で決め、がんばって結果を出した時です。
その結果が社会的に意義あることだと、さらに幸福度は増します。

僕が経営した新聞販売店には30名以上の新聞配達員がいます。
新聞配達は単純作業です。

僕が社長に就任した時に、人生の大先輩から「労働者には手厚いケアが必要」とアドバイスされました。
要するに、仕事が楽しくないから福利厚生を手厚くしないといけないということです。

でも、僕はその考え方には反対でした。
配達員はそんなに可哀想な人たちなのか?と思ったからです。

僕の考えが間違いではない事を教えてくれたのは、50代の男性配達員でした。
彼は地元の消防で団長まで務めた、消防大好き、地域が大好きな方です。

彼がある日、僕に提案をしてくれました。
「毎日、同じ家に新聞を配っていると、ちょっとした異変に気づくんです。独居老人宅で前日の新聞が抜かれていないと家の中で倒れているかもしれない。だから異変を感じた時は民生委員さんに連絡をして安否を確認します」

この活動により何人もの命が救われました。
土砂崩れで道路が寸断されていることを、いち早く地域に報せたこともあります。

地域の用心棒的な存在になり、正月には配達先でお年玉をいただくようになりました。

もはや労働者という呼び名はふさわしくありません。
自ら仕事を創造する「仕事の主」です。
とてもやり甲斐を感じ、毎日の配達を愉しんでいます。

彼から教えてもらったこと、それは新聞配達のような単純作業でも仕事の主になれるということです。

自らが決めたことで誰かの役に立った…
こうした事が働く人の幸福を生み、創造性が発揮され企業の繁栄の礎になると思うのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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