アベノマスクから学ぶ一極集中の限界と小規模分散の強み

一極集中型よりも小規模分散型の方がスピーディー

組織を動かそうと思って号令をかけても隅々にまで行き届かないことがあります。
特に、今の時代、多いんじゃないかな?
なぜなら、ピラミッド型の組織は伝達に何人も介すからです。
それに変化が激しい時代なので伝達する頃には状況が変わっていることも多い。

また、現場の状況をトップが正しく把握するのも難しい。
数値では読み解けない複雑な情報が含まれているからです。
例えば、売上が下がったという情報は瞬時にトップに届きますが、その背景にある消費者の志向の変化は届きません。

そんな時代には小規模の集団に分散した経営が適している、とても強く実感しています。

例えば、政府支給のマスク(アベノマスク)が一昨日、ようやく僕の家に届きました。
マスク配布のアイデアの良し悪しはここでは語りませんが、とにかく時間がかかっています。
でも、僕は1ヶ月以上前に入手しました。
友人が手作りをプレゼントしてくれたのです。

先日、近所の酒屋さんに行ったらマスクが売っていました。
どうやらNPOが作ったマスクらしい。

小規模分散の方が早いのです。

僕のセミナーではオープニングの時にちょっとしたゲームをやります。
「並べ替えゲーム」と言いますが、参加者にランダムの横一列に並んでもらい、あるルールに基づき並べ替えを2回します。

1回目は「誕生日の順番」(1月→12月、年は関係なし)
参加者の1人に指示役をやっていただき、その人の指示により人間を動かします。
30人ほどの場合、完了までに3分以上かかります。

2回目は「名前の五十音順」です。
数字(誕生日)よりも少し難しい。
今度は指示ゼロでやります。
僕が「ハイ、どうぞ!」と言ったら開始です。
これまで例外なく指示ゼロの方が早く正確でした。
正確な理由は、誰かが間違って並んでも両隣の人が気付くからです。
(指示されて動いた場合、指示役が間違えても思考停止起こして気付かない)

時代はいよいよ小規模分散を求めるようになった

小規模分散の方が品質のリスクも低くなります。
政府のマスクは虫だかゴミが入っていたと問題になりました。
そうなると、全部回収で振り出しに戻ってしまいます。

これが小規模分散だと、その部分だけ回収すれば良いので素早くリカバリーできます。

獺祭というお酒があります。
蔵元は小規模分散型の生産を行っています。
普通、酒蔵ではデッカい樽を使い、年に1回だけ生産します。
この場合、何か雑菌が入った場合、全てがパーです。

獺祭では、お風呂くらいの大きさんの容器をたくさん使い生産しています。
しかも1年に何度も作ります。
2年前、豪雨災害の被害を受けましたが素早く復活したのにはこうした理由があります。

小規模分散は生産の現場だけの話ではありません。
企業の組織も同様です。
通常、トップ、あるいはマネージャーが意思決定をします。
それを下に伝達してやらせます。
マネージャーの仕事は方針通り、計画通り進んでいるか?を管理することにあります。

ところが冒頭に書いたように、現場で起きていることをトップが正確に把握できません。
なのでトンチンカンな指示を出してしまう。
現場が判断した方が早く正確なのです。

また、一極集中の場合、方針転換はとても大変です。
船が急に舵を切れないのに似ていると思います。
方針転換を繰り返すと、現場は「また違うことを言い出した〜」と不満を持ち混乱します。

現場で意思決定した場合、自分たちが変化の作り手なので納得して転換ができます。

時代はいよいよ小規模分散を求めるようになった。
本当のそう感じています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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