刻一刻と襲ってくる環境の変化に即応する組織のつくり方
まさにVUCAの時代を目の当たりにした感がある
1月に、中国で新型コロナウィルス感染症が発生したとのニュースを見た時は、正直、対岸の火事を見るような感覚でいました。
それがわずか1ヶ月後には他人事ではなくなっていた…
トヨタ自動車の豊田章男社長が「こんなにも急激に変わるとは…」と言っていましたが、同じように感じている人も多いと思います。
今は「VUCAの時代」と言われています。
変化が激しく何が起きるか予測不能な時代を指します。
当時は概念として「確かにそんな時代だな〜」くらいに思っていましたが、それを目の当たりにして危機感を抱かざるを得ません。
今、企業はこうした事態が起きることを前提に経営しなくてはいけない、心からそう思います。
変化に強い、正確に言えば変化に即応できる経営です。
僕は、今の時代にティールの概念が生まれたことに、何か不思議な意味を感じています。
時代が求め生まれたものだと。
変化に合わせ組織を作り変えるのは難しい
激しい変化に対応するためには、組織に柔軟性が求められます。
柔軟ということは「形を変えられる」…可塑性があるということです。
ところが、これは従来の組織形態(ヒエラルキー)では非常に難しいと思います。
その理由は、ヒエラルキーは組織を盤石にするための権力構造だからです。
そうしないと不安、その不安に従うと自然とヒエラルキーになると考えます。
だから、ビジネスパーソンは一枚岩という表現が好きなのだと思います。
盤石は固定です。変化には弱い。
そもそも組織は何かを遂行するために結成されます。
やることが変われば組織も変わる。
変化が激しい時代では組織の形も流動的に変わらなければなりませんが、盤石な組織を作るとそれが難しくなります。
「部長、悪いが明日から平に戻ってくれ」って言えないですよね?
これは経済学でいう「取引コスト」です。
説得に膨大なエネルギーを要するとそれを避けてしまい、結局、いつまで経っても変われないという事態になります。
また、ヒエラルキーでは組織図がしっかりしていることで出世のルートが分かりやすい、だから「勝ち抜く」という自我を燃料にして社員が動きます。
ところが最近では出世よりも自分らしく働くことを志向する人が増えてきました。
時代が変わると人々の感性が変わる。
感性が変わると組織の在り方も変わっていかざるを得ないと思います。
変化に応じ自己組織化する動的な組織にする
ティール、指示ゼロ経営などの自律型組織の究極の組織形態は「組織がない」という状態だと思います。
なのでモデルとして説明することが難しのいです。
ただ、1つの特徴としては「○○長」といった役職がない(少ない)ことがあります。
組織が固定化される一番の要因は固定された役職だと考えています。
先程の取引コストの話しですが、やることが変わった時に、役職を解除するのは非常に億劫です。
ちなみに、僕が経営してきた会社(新聞です。今は社長を退任しました)では役職を持っているのは僕だけでした。
登記上、代表取締役は必要なので。
それ以外は「長」という役職はありません。
しかし「肩書」はあります。
どういうことか?
役割を表す肩書があるということです。
当社では、新聞店の機能を活用して地域づくりのビシネスをしています。
従来の新聞を仕入れて売るというビジネスモデルを変えたのです。
やることが変わると、これまでの業務の意味合いが変わります。
例えば、新聞配達員。
これまでは文字通り「新聞を配る人」でしたが、今では新聞を配りながら地域のパトロールをしていますので意味合いが変わるのです。
すると、「地域パトローラー」という肩書になる。
地域の人と人を繋ぐことが主たる業務になりますので、それに携わる社員は「地域づくりコーディネーター」と名乗ります。
この肩書もやることが変われば、それに応じて自由に素早く変わっていきます。
この組織形態は常に動的なので慣れるまでは気持ち悪さがつきまとうと思いますし、社長だけでなく社員さんも訓練をする必要があります。
しかし、身についてしまうと非常にアクティブな集団になるはずですし、何よりも仕事が面白くなると思います。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。