雑談・お喋りが多いチームの方が意思決定が早く正確、決まった後の主体性も高い

意味の伝達・共有だけで仕事はできない

社長の中には社員のお喋り、雑談を嫌う人がいます。
僕もずっとそうでした。
僕の理想は、朝、出社したら「黙って」掃除をして自分の配置につくことでした。
業務中も黙って仕事に集中して欲しい…そう思っていました。
しかし、朝、出社すると、まずどうでもいい(と、当時は思っていた)お喋りをするのです。
業務中もそう。

そこできつく注意したことがあります。
しかし、それを徹底すればするほどチームが悪くなるのです。
なんと言うか、歯車が噛み合わないのです。

明らかに雑談を禁止したことで悪くなったので、一旦、注意するのを止めました。
すると、チームのワークが円滑になりました。

この経験から、僕はお喋りの重要さを知りました。

その重要性とは、「文脈の共有」です。
文脈は、これまでの経緯や情緒などが含まれた高度な情報です。
非常に動的で生々しいものです。
情報とは「情を報せる」と書きますが、定量化できない抽象的な事象を含みます。
そうでなければ単なるデータですからね。

僕はずっと客観的な事実だけ共有すれば良いと思っていたのです。
しかし、それでは組織にとって最も重要なパフォーマンスを阻害するのです。
そのパフォーマンスとは「意思決定」です。

意思決定に情報は不可欠ですが、文脈が共有されていないと誰も正しい意思決定はできなと考えます。

文脈から紡ぎ出された意思決定は早く正しい

この重要性を語るのに、「もぐもぐタイム」で有名な女子カーリングチームほど分かりやすいものはないと思います。

同チームの意思決定は「そだねー」で決まります。
最初にあの様子を見た時は、リーダーに依存して、メンバーが思考停止を起こしていると思いました。

あの素早い意思決定は文脈が共有されていないとできません。
リーダーの意思決定に従うという性質でもありません。

しいて言うなら「紡がれた意思決定」です。

これまでの経験や理論…それこそデータを超えた文脈から紡ぎ出された意思決定です。
その効果は計り知れないと考えます。
まず、意思決定が早い。
そしてメンバーの多くが納得するものなので、主体性が生まれ、決定後のアクションに大きな差が出ます。

これは僕の推測ですが、あの「もぐもぐタイム」のような雑談の時間が文脈の共有に役立ったのだと考えています。

文脈の共有を、僕は「チューニング」と呼んでいます。

僕の会社で起きていた朝一番からのお喋りにはチューニングの効果があったのです。

チューニングはチームとしての目標があって初めて起きる

この視点を持って、様々な企業を観ると、チューニングの大切さに確信を持つようになりました。
また、チューニングが起きるチームとそうでないチームの決定的な違いも観えました。

ある日、僕は客としてとある事務機器販売会社を訪ねました。
その職場は、かつての僕が理想とする雰囲気でした。
雑談が一切なく、みんな自分の仕事「だけ」に集中していました。

その事を担当の営業マンに言ったら、「そうなんです、だからダメなんですよね〜」と言うのです。
その意味は、皆んな、自分の事しか考えていなく、助け合いや知恵の共有がなされないということでした。

そして、その原因はインセンティブにあると断言していました。
営業マンは自分の販売額に応じ賃金が決まる制度になっていたのです。

これでは、「自分さえ」という発想に陥りチューニングも文脈の共有も起きません。
そこに豊かな知恵は生まれないと思います。

チーム全体で目指す目標・目的があることで起きる現象だと考えるのです。

正確な意思決定を素早く行い全員が合意する…そんな文化はお喋りができる職場で醸成される、そう考えるのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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