ヤル気になっても3日で元に戻るスタッフの対策
モチベートという言葉があります。
「他人を動機づける力」のことですが、この力を持つと人生が面白くなります。
他人のヤル気に火を付けた時の快感は格別です。
他人への影響力を有する自己重要感が得られるからです。
しかし、同時に新たな問題の始まりだと思っています。
その理由は、他者に動機づけられたものは3日で元に戻るからです。
3日おきに動機付けをするなんて超人でもない限り不可能ですよね?
今日はかの名作「トムソーヤの冒険」を例に、自家発電的で持続するヤル気について考えたいと思います。
内発的なヤル気、楽しさに溢れる環境で生まれる
トムソーヤの冒険の中にこんな話があります。
トムはポリーおばさんの家のフェンスにペンキを塗るというつまらない仕事を、罰として命じられました。
これを誰かにやらせようと思ったトムは、たまたま通りかかった友人に、塗りながら「この仕事はめっちゃ楽しい」と言いました。
それを聞いた友人は「是非自分にもやらせて欲しい」と言います。
でも、トムは簡単にOKせず、友人の頼みを何度か断ったあと、りんごをくれるという条件と引き換えにOKした、という話です。
悪いヤツだな(笑)
しかし、この方法の効果は絶大です。
同じような要領を活用しているのが、数々の世界的バイオリニストを輩出しているスズキ・メソードです。
僕の息子が10年くらいお世話になりました。
入塾してしばらくはバイオリンは持たせてくれません。
確か、挨拶の練習ばかりだったように記憶しています。
その間、妻が練習していました。
僕は「何?あなたが習うの?」と聞きました。
妻は言いました。
「私が1曲、楽しく演奏できるまで息子にはバイオリンを持たせてもらえないの」
妻は一生懸命に練習をしました。
そして「その瞬間」が来ました。
妻が楽しそうに弾いているのを見た息子が「僕にもやらせて」と言うのです。
その瞬間からレッスンが始まります。
これを仕事に当てはめると、上司や先輩が楽しく仕事をする重要性が分かります。
昔から「戸が笑う」と言いますが、楽しい職場は人が育ちお客様も寄ってくるというわけです。
これらの事例の教訓は、内発的なヤル気が起きるキーワードは「楽しさに溢れる環境」だと思います。
自分の行動によって訪れる変化をキャッチできる仕組みをつくる
ところが、これだけでは持続はしないと思います。
トムソーヤの冒険の事例でも、リンゴを支払ってペンキ塗りの権利を得た友人は、きっとすぐに「なんだよ、つまんねーじゃないか」と飽きてしまうでしょう。
ここでトムソーヤが真の悪人、、いや、やり手だったらヤル気が持続する工夫をすると思います。
それはキレイになったフェンスを見た人の反応を伝えるというものです。
例えば、ポリーおばさんの喜びの声や通行人の声です。
「キレイなフェンスを見ると、それだけで幸せな気分になれるわ」
「このフェンスを塗った人に、職場の5Sの講師になってもらいたい」
そんな奇特な人はいないと思いますが(笑)
自らやると決めて、やった事による変化や成果をキャッチした時に、次なるヤル気を自家発電するようになります。
ただし、これは客観的な声であることが重要。
トムソーヤがフィードバックしたら、トムがいないと持続できなくなってしまうからです。
もしトムに役割があるとしたら次の2つだと考えます。
1つは、通行人の喜びの声が届いたら、それを友人と一緒に喜ぶことです。
もう1つは、悪いフィードバックが来た場合です。
その時は、一緒に悔しがる、でも、失敗した後に人は成長することを伝える事だと思います。
もし、その人と同じように最初に失敗した体験を持つ仲間がいたら、その人から体験談を伝えてもらいます。
それを伝えるのは、非常にやり甲斐のある仕事ですから、迷わず買って出てくれると思います。
他者をモチベートするのは、そこに快感が伴うゆえに危険だと思っています。
気づけば、共依存関係に陥る、そんな場面を僕も経験したし、多く見てきたからです。
「やる」の第一歩を自分から踏み出すこと。
行動の変化・成果を客観的にキャッチできる仕組みがあること。
たった2つで、自家発電的なヤル気が生まれるはずです。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。