問題ある部下の言動は、本人ではなく仲間との相互作用が原因と疑うべし
指示ゼロ経営では個々の部下と関わることは基本、しません。
深刻な悩みを抱えた場合は例外ですが、そうでない限りしません。
その理由は、人の考えや態度、行動は個で完結するものではなく、相互採用で成り立つからです。
「集団を観る」…この原則は大事で、そうしないとリーダーが個々の部下に翻弄される事になります。
例えば、部下の中に傍観者がいたとします。
その人を注意すると、こう言います。
「そうは言いますけどね、あの人(仲間)が独りよがりだからヤル気なくしますよ」と。
では、独りよがりのあの人を注意します。
「もっと皆の意見を聞かなきゃダメじゃん」と。
すると、その人はこう言います。
「そうは言いますけどね、皆んなヤル気がないから私1人で頑張っているんですよ。そんなこと言われたら私もヤル気をなくしますよ」
集団の作用を知り、集団を観る。
今日は、その事例を紹介します。
なぜか問題を起こすA社員
リーダーが個々と関わることには物理的な限界があります。
リーダーにも自分の仕事があります。
部下と関わる時間はせいぜい1日あたり1時間くらいなものだと思います。
もし10人の部下がいたら、1人あたり6分。
しかし、平等には関われません。
問題を抱えた部下に多くの時間を割かれるからです。
すると、これは無意識のなせる技ですが、問題を起こす部下が出ることがあります。
問題を起こすと構ってもらえることを知っているからです。
実は大した問題ではない、でも関わってもらいたいから問題化させる、人間の関係欲求はものすごく強いのです。
もっと恐ろしいのは、1人、そういう部下が出ると、その姿を周りの部下が学習します。
精神的に自立した人は大丈夫ですが、そうでない人が同じような行動に出ることがある。
リーダーはそんなに重要でもない事案に時間を割かれてしまいます。
集団と関わった場合、リーダーの負担は分散されます。
また、この手の問題は依存心が原因ですが、仲間には依存しづらいので問題化が少なくなります。
リーダーが信頼するBさんが潰れる日
チーム内に責任感が強く、いつも率先して動く人がいると思います。
リーダーからすれば心強い存在です。
ところが、その人の動く動機が「他にやる人がいないから」というものだったら、非常に注意が必要です。
周りの人は、その人が真っ先に手を上げてくれてホッとしているかもしれません。
「ああ、良かった。Bさんがやってくれるわ」
周りがBさんに依存して傍観者になったら、Bさんは潰れてしまうかもしれません。
それをリーダーがケアすると、いつもリーダーとBさんで取り組んでいる、そんな状態に陥るかもしれません。
すると、いつしか被害者意識が芽生えます。
「あいつらが無関心だから、私たちだけでやるしかない」
頑張れば頑張るほど、周りとの溝が広がってしまいます。
すると、周りの人は冒頭の状態になります。
「あの人が独りよがりだからヤル気なくしますよ」
集団に関わることに慣れているリーダーは、Bさんにフォロワーがつくように促します。
最初はたった1人でもフォロワーがつけば良い。
リーダーはフォロワーに対し、うんと感謝します。
その姿は周りの社員の機づけになります。
次のフォロワーに伝播します。
部下は、自分と同じ立場の人間の行動に影響を受けます。
フォロワーがリーダーの場合、伝播しづらいのです。
人の考え方や行動は、他者との関係性で決まることが多いと考えています。
個々の部下の行動だけでは判断ができない。
だからリーダーには集団を俯瞰する視点が求められると思うのです。
今日1日、部下の行動の背景にあるものをイメージしてみてはいかがでしょうか?
それでは素敵な1日をお過ごしください。
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