社員さんが理念や経営計画を自分のものにするには何をすれば良いのか?

社長の思いや考えは、まずもって伝わっていない…そう認識することが大切だと思います。
「口酸っぱく言っている」「朝礼で唱和している」
そう思われるかもしれませんが、実は伝わっていません。
朝礼で唱和している経営理念も、文言を言えるだけで真に理解していないことが多い。

その理由は、人は一方的なインプットでは理解できないからです。
アウトプットが必要。

今日の記事はインプットとアウトプット、両方のやり方を考えたいと思います。

経営計画を社員さんが完全に自分事している企業

アメリカ国立訓練研究所の研究によると人は講義を聞いたことの5%、読書の10%、見たり聞いたりしたことの20%、実演を見た場合でも30%しか学習しないそうです。一方的なインプットは効果がないということ。(インプット)
その一方で、グループ討議をした場合は50%、自ら体験した場合は75%、そして人に教えた時は90%を学ぶそうです。(アウトプット)

歴然とした差ですよね?

では職場において具体的にどうアウトプットの機会をつくれば良いのでしょうか?

毎年12月に愛知県半田市の株式会社榊原で社内研修をさせていただいています。
今年は先週行いました。
毎年やるのには理由があります。
それは、経営計画発表会の直後にアウトプットをするためです。

経営計画発表会では社長から思いや今期の方針などが伝えられます。
非常に重要な場なのですが、一方的なインプットです。

そこで研修ではアウトプットを行います。
今期のたくらみが成就した「その日」に、自社が新聞に載ったと仮定して、新聞紙面を全員参加で作るのです。

新聞には一年後の日付が入ります。
見出しには社会性、話題性のある文章が入ります。
全社的にどうなったか?…状態のイメージと数値、両方を書き入れます。
実在する顧客を1人設定して、その方に新聞記者がインタビューしたという体で、顧客の喜びの声を書きます。

さらに、新聞の2面以降には各部署、各支店の活躍が載ります。
1年後のことなので相当、詳しく書かれます。

スタッフさん1人1人も載ります。
自分の個性や才能をどう活かしてどんな活躍をしたか?
賃金が増える前提なので、裕福になった自分の幸せな姿を描きます。
ここまでアウトプットをして初めて自分事になるのです。

日々の活動では「この瞬間」を確認する

期首のアウトプットは経営計画に参画することですが、日々の仕事でのアウトプットも重要です。
具体的には理念や指針に合った活動をした社員さんに「それだよそれ!ウチの理念は!」と伝えること、そして自分が何をやったのか?をアウトプットして仲間たちとシェアするのです。

先月にお邪魔したある企業さんでは、これを徹底していました。

お客様に喜んでいただけることを、現場の社員さんたちが自ら考え実践していました。
実践は個人でやることもありますしチームでやることもあります。
実践は上司に報告して全社的にまとめ、毎月発行される社内報に載せています。

社内報を見せてもらったのですが、社長の挨拶は全体の5%くらいです。
写っている写真、文章のほとんどが現場の社員さんの活躍でした。

こうした日々のアウトプットにより確実にものになっていくのだと感心しました。

同社は、この取り組みを始めて3年ほど経つそうですが、これが進むと凄いことが起こります。

それは、ものになると各種取り組みがなくなるのです。
社員さんが自ら仕事を創造し、それによりお客様や仲間に喜ばれる悦びを味わうと病みつきになります。
そうなると言われなくても仲間との学び合いをするようになります。
社長が異業種交流で学ぶのと同じように。

完全にものになった状態を「内在化」と言います。
文化になったと言い換えても良いと思います。

内在化すると、例えば経営理念は統一された文言ではなく、社員さんが自分の言葉で語るようになります。
しかも、「会社の理念」という言い方ではなく「我々の理念」と言うようになります。

そうなるまでにはインプットの後に、継続したアウトプットが必要です。
インプット1に対しアウトプット99くらいの割合だと僕は考えています。

それでは今日も素敵な1日を!

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