最近増えてきた「長」がいない組織はどのように運営されているのか?

まだ主流ではありませんが、最近、「長」がいない組織運営をしている会社を見かけます。
法的に社長は必要ですが、それ以外の長がいない。
店長、部長、課長がいない。
非常識ですね〜
でも、もしかしたら、こういう会社が増えるのではないか?と考えています。

長がいなくて組織運営ができるのか?
責任の所在が曖昧にならないのか?

今日は「長なし経営」の可能性について考えたいと思います。

長を置かない理由

まずは長なし経営をしている事例をご紹介します。
まずは、僕が昨年まで社長を務めた新聞店です。
僕の現役時代から長は僕だけでした。(社長のみ)
僕が引退した直後に、なんと町営ホテルの管理・運営をするようになりました。
地域づくりの一環事業なのですが、おそらく全国に16000社ある新聞店の中でオンリーワンだと思います。

先日、現社長と近況報告をし合いましたが、そのホテルには支配人の肩書を持つ人間がいません。
最終責任者は新社長なのですが、オペレーション上の支配人はいない。

その理由を聞いたら、全員経営をしているからだそうです。
こうも言っていました。
「長がいると、その人に依存して良くない」

長を不要にする全員経営とはどんなものなのか?

もう1つ事例があります。
先日、名古屋で指示ゼロ経営講演会を行いましたが、その時の対談ゲストの会社です。
岐阜市内に「ヘナ専用美容室 月と風」を2店舗展開する、武藤花緒理社長です。
2018年2月に創業し、1年後には2店舗目を出店した勢いのある会社です。

2店舗とも店長はいません。
その理由を聞いたら「いない方が上手くいくから」だそうです。
新聞店の社長と同様「いると長に依存するから」と言います。

長がいなくて責任の所在が曖昧にならないのか?

従来のヒエラルキー型の発想からすると、すごく気持ち悪いと思います。
しかし、指示ゼロ経営のOSでは不思議なことではありません。

※10/22(火)に月と風の現場見学会を企画しました。参加者との対話形式で進めますので、月と風の指示ゼロ経営の全容に迫ることができます。

1人1人が自分の責任領域を持つと同時に全員達成の責任も1人1人が持つ

長なし経営をしている組織には大きな特徴があります。
それは…
「自分の責任領域を持ちながらも、1人1人が全体の達成を意識している」

より具体的に見てみましょう。
通常、ヒエラルキー型の組織では上司と部下が下のようにつながっています。

上司は部下と報連相を通じ成長対話をします。
それぞれの部下が自分の責任領域を持っていて、全員のタスクが完了すると組織のミッションも達成されるわけです。

この形態の場合、長は欠かせません。

基本的に部下は自分のタスクのみに責任を負います。
全体ミッションの達成に関しては上司が責任を負います。
なので、仲間を助ける場面はあまり見られません。

対し、長なし経営をしている会社の組織形態は次のようになります。

全員が自分の責任領域を持っていますが、全てのタスクに「完了」が付くよう全員が協働します。
全員に「完了」が付いて初めて組織として結果を出すことができますが、全員達成の最も有効な方法は、各自が主体的に助け合うことです。
上司も自分の仕事がありますので、全員を支援することは難しいはずです。

仮に部下が5人いた場合、ヒエラルキー型の場合、指導の数は5しかありません。
これが長なし経営=自律型組織の場合、互いに支援し合うので20になります。
※公式は、n(n−1)、nはメンバーの数。

人には得手不得手がありますので、自分1人でタスクを完了させることは難しい。
それを仲間同士で補い合うことで克服できます。

「1人1人が自分の責任領域を持つと同時に、全員達成の責任も1人1人が持つ」

これが全員経営であり、長なし組織の在り方です。

ただし、このスタイルは、あまり人数が多いと機能しなくなります。
全員達成の責任意識が薄くなるからです。
多くて6人ほどのユニットが理想ですが、逆言えば、このくらいのユニットの集合体の組織を作るという発想になります。

今、長になりたがらない人が増えています。
時代の感性だと思いますが、長なし組織は増えていくのでは?と感じています。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

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