究極的に商売上手な会社は、一見すると商売下手に見える

あなたの街に一見すると商売下手のように見えて、実は結構、儲かっている会社ってありませんか?
僕の地元にもあります。
一方で上手な宣伝広告を打ってはいるが、実は火の車という会社もあります。

僕は商売上手は宣伝上手だと思っていますが、究極的に商売が上手な会社は、一見すると商売下手に見える、そう感じています。
特に老舗企業に多いと思います。

なぜ商売下手なのに儲かっているのか?

先日、日本図解協会の図解フェスティバルが千葉県船橋市で行われました。

会場は、イシイのミートボールで有名な石井食品株式会社です。
日本図解協会の多部田憲彦理事長は石井食品の石井智康社長と昔からの友人だそうです。
イベントでは「石井食品らしさ」をテーマにしたディスカッションも行われました。

「図解弁当」のコンテストも行われた

まずは石井社長の話を聞き、参加者が「らしさ」を話し合います。
そこで、多くの方から「商売下手」という意見が出ました。
石井社長も、自社を「愚直だが商売下手」と言っていました。

その理由は、実は、石井食品さんは無添加調理を行っているのですが、それが生活者に浸透してないからです。
それを聞いて、僕も「なるほど」と思いましたが、後になって違う考えが起こりました。

商売下手なのに十分な利益を出し、株主にも還元している…
実は商売上手なんじゃないか?と思ったのです。
狙ってはいないが結果的にそうなっていると。

僕は石井社長の「愚直」という言葉にすべてが表れていると思いました。
同社が何に愚直に取り組んできたかというと、生活者や農家とともに繁栄することです。
だから創業以来、74年間、食の安全に本気で取り組んできましたし、農家を叩くようなことはしなかった。

その信頼資本が蓄積されているから今日の繁栄があり、派手はキャンペーンを打たなくても経営が上手くいくのだと考えたのです。

愚直こそ、顧客創造の要諦である

このことを会計で考えてみました。
広告宣伝費は損益計算書の固定費に計上されます。(いわゆる戦略費)
かけた戦略費は売上高に返ってきます。
普通、かけたらすぐに返ってくることを望みますよね?
その期、あるいは次期には結果を出したいと考えるのが普通です。

しかし、これが実は難しい。
収益の源泉は「人」です。
買ってくださる人=お客様を増やすことが繁栄の礎となります。
ここで言うお客様とは、その会社を繰り返し利用してくれる人を言います。
何かのキャンペーンにたまたま反応して、1回限りという人は、まだ顧客見込みと考えます。
宣伝活動の本質は、顧客創造であり、商品を売るという発想ではないと考えるのです。

しかし、人はすぐに顧客になってはくれません。
どんなに宣伝が上手でも、利用してみたら「期待と違った」と流出することは非常に多い。

顧客を創造できる企業は、詰まるところ、何かに愚直に取り組んでいる会社だと思うのです。
愚直に取り組むには想いが要ります。
顧客は、その想いを含め会社に愛着を持つのだと思います。
同時に、こういう会社が、かけた広告宣伝費が報われるのだと。

さて、こうして獲得した信頼資本は、会計上、どこに計上されるでしょうか?
資本なので貸借対照表ですが、現在の会計では見に見えないもの…関係性、暖簾の力、信頼などの資本は載りません。
載りはしませんが、確実に蓄積されていきます。

そして蓄積されると、どんなに派手な宣伝活動よりも収益に安定的な効果をもたらします。

なぜ、僕がこのことを自信を持って言えるのかというと、僕が23年間経営してきた会社は、今年創業92年を迎えます。
先々代、先代が蓄積してきた信頼資本の力を肌で感じてきたからです。

石井食品さんは創業以来、この目に見えない資本を蓄積してきたのだと思ったのです。
派手に宣伝しなくても、消費者は知っている。
生活者全般には浸透していなくても、ファンは知って、ファンは多い。
だから、一見、商売下手に見えるのだと思ったのです。

石井食品さんは、現在、第4創業期に入っています。
さらに生活者、農家と共に繁栄していく道を進み始めています。

とても感銘を受けた体験でした。

あ、こうして僕のように思わずブログにしたり口コミしたりするから派手な宣伝が要らないのか…

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

 


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