他人事な社員が、会社を自分事として捉えるには何が必要か?
働く目的を間違うと社員の主体性はいつまでも育たない
「社員が会社のことを自分事と考えていない」
これって多くの社長にとっての悩みだと思います。
でも、僕はその原因は社員ではなく環境にある、環境がそうさせていると考えています。
自分事になりようがないってこと。
どういうことかと言うと、根本的な部分…「何のために働くか?」が確認されていないからです。会社のために働くというのは建前で、本当は自分が幸せな人生を送るために仕事を活用しているはずです。
それが真の目的、でも会社の繁栄なしには実現できない。
それをちゃんと確認することから始まるのだと考えています。
社員の主体性が高い会社は、事業目的の最優先に社員の幸せを掲げています。
例えば、ソニーの設立趣意書は最初にこんな事が書かれています。
「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」
自分たちのことが一番最初に書かれています。
そもそも社長だって豊かな人生を送るために経営をしているはずですよね。
社員だって同じです。
それを「会社に尽くせ、顧客に尽くせ」と言われたら自分事と考えるわけがないと思います。
理想的な構図はこう。
「幸せな人生を送るために仕事をする」→「そのためには会社の繁栄が必須」→「だから高い価値を創り、顧客に喜ばれる」→「社員は、経済的な豊かさとともに、人のお役に立ったという充実感が得られる」
仕事が愉しくなるよね?
最終的な目的を、1人1人が幸せな人生を送ることに設定する
これを実践している会社に岩手県一関市の「京屋染物店」があります。
先日、夢新聞を活用した「ビジョンデザインワーク」を行いました。
会社のビジョンを全員参加で話し合い、それを未来の日付の新聞に書くのですが、そこには、その暁に社員さん1人1人が幸せな人生を送っているイメージも描かれます。
要するに、会社のビジョンと個人のビジョンを新聞という形式を使い繋ぎ合わせるのです。
これが自分事になる基本要件だと考えるからです。
京屋さんは社長の蜂谷悠介さん、専務の蜂谷淳平さんが熱い思いを思っています。
仕事を通じ幸せな人生を送るということを、こんな風に考えています。
「社員1人1人が自分の個性、特性を活かし仕事に取り組むことで、仕事の行為自体から喜びを感じ、ゆえに成果が出て経済的にも豊かになる」
最終的な目的を、幸せな人生を送ることに設定しています。
素敵ですよね?
こういう会社で働きたいですよね?
これが社員さんの主体性を育て、先日もこんな事があったそうです。
新しいプロジェクトを立ち上げ、その期限が3月に迫っているそうです。
普段の業務+新プロジェクトということで、仕事が山積みになっている部署があり、そこでちょっとしたゴタゴタが起きました。
新プロジェクトに忙しいので、普段の作業が滞っていたのです。
そんな状態の中、社長が「先日のBMR研修の気付きを発表しよう」と伝えたら、その部署の1人が「その時間を作業に使いたい」と言い出した。
さらに、自分の心の葛藤を吐露し、それを聞いた他の社員が、それを自分事と捉え話し合いが始まったそうです。
めでたく社長の提案(気づきの発表)は却下された(笑)
これが会社を自分事と捉え、自らの意思で動く社員さんたちの姿です。
もし、社員さんの主体性が低いと感じているならば、その原因は「仕事の目的」が本人の望むものでない別の何かにすり替わってしまっているかもしれません。
ベースを「幸せな人生の創造」に設定し、1人1人の思いを確認することがとても大切だと考えています。