依存心が強い社員たちが自立するまでに、社内でどんな事が起きるのか?
リーダーが何でも率先垂範するから部下が自立できない
以前に、居酒屋で50代と思しき作業服を着た3人の男性が社長のグチをつまみに酒を飲んでいました。
その会話が面白く、勉強になりました。
「社長はもっと俺らのことを叱って欲しいんだよな〜」
ドMか?(笑)
どうやら、ここ数ヶ月、社長は叱ってくれないそうなのです。叱ってくれないどころか面倒も見てくれない、それで不安になり愚痴をこぼしていたわけです。
「これじゃぁ、俺らヤル気にならないよな〜」
子どもか?(笑)
どうやら以前は、社長が何でも率先垂範してグイグイ引っ張ってくれたそうです。
面倒見が良く、だらしないと叱ってくれ、一緒に飲みに連れて行ってくれることも多かった…
それが人が変わったように「何もしてくれない」
彼らは「社長は、もう俺たちを見限った」「会社をたたむんじゃないか」そんな不安を感じているようでした。
僕は焼酎を飲みながらその会話を聞いて、それは社長の決断だと思ったのです。
彼らに自立して欲しいと願い、あえてそうしているのだと。
同時に、社長も辛い思いをしていると思ったのです。
リーダーが何でも率先垂範すると、部下は依存します。
リーダーも「オレがいないとお前らダメだな」と頼られることに快を感じ、すぐに共依存関係に陥ります。
そこから脱却するためには、赤ん坊の断乳のように互いが辛さを体験します。
居酒屋の彼らは、きっとそのうち、仲間との会話がグチではなく建設的なものになると思います。
グチを言っていても何も始まらないからです。
自律的集団ができるまでの心理的な成長を知ることが大切
自立は互いの自我の発達が関係します。
自我は「初期自我」→「中期自我」→「後期自我」→「成熟した自我」の4段階で発達していくと言われています。
・初期自我はお菓子を買ってもらえない子どもが駄々をこねるような衝動性が特徴です。
・中期自我は、社会規範を理解し親に従順な扱いやすい子どもです。
・後期自我は、「こうあるべき」の仮面をかぶり自分なりの正義を持ち、戦う日々を送ります。比較優位に立ち争うことを好みます。コントロール願望が強く支配的です。
・成熟した自我の状態になると、むやみに闘争を仕掛けなくなりますし、落ち着いていて自然体でいることができます。
後期自我のリーダーと中期自我の部下の相性はバツグンです。
逆に、部下が後期自我だと職場は戦場になります(笑)後期自我の人はものすごいパワーを発揮しますが、それを活かせるのはある程度成熟した自我が必要になります。
件の社長と社員さんの関係は「後期ー中期」なのだと思います。
それが、何か思うところがあり、社長は依存関係を断ち切ろうとしているのだと思います。
そうなると依存する相手を失った社員さんたちは不安になり「もっと叱ってくれー」と愚痴るわけです。
そして、やがて後期に突入すると思います。
社員さんたちが自分の考えを持ち「べき」の思考が始まり、時に社長と衝突すると思います。
その時、社長は精神的に大変な日々を送ると思いますが、それを乗り越えると本当に素晴らしい集団になると思います。
僕もそうでしたし、指示ゼロ経営を導入した多くの社長が、同じような体験をします。
今日、ご紹介した知見を知っても指示ゼロ経営はできるようになりません。
実際にやらないとできるようにならない。
では、何故ご紹介したのかと言えば、こうした知見を持つと、集団内で起きていることを客観的に上位視点から見ることができ、心に少しの余裕が持てるからです。
逆に知らないと、得も知れぬ不安や怖れに支配されて、余計な言動を取ってしまうから。
社員に自立を求める社長は、こうした事が起きることを覚悟し、心の準備を整える必要があると考えています。
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