良いチームを創りたければ、部下個々ではなく「チーム丸ごと」育てる

社員を個別に教育してもチーム全体が良くならない…
僕が指示ゼロ経営を始めて、いちばん最初に直面した壁がこれでした。

例えば、マンツーマンで話をすると、みんな熱心に仕事の話をしてくれる、でも、仲間の元に戻ると「さっきの情熱は演技だったのか?」ってくらいに馴れ合ってしまうことがありました。
なんだか裏切られたような気になり、すごく辛かったのを覚えています。

その経験から学び研究をした結果、1人1人の教育とチームの成長には全く違う因果関係があることが分かりました。

今日は、そのメカニズムを紐解きたいと思います。

人は集団の風土で自分の行動を決定する

1人1人の社員が自立してもチームが良くなるとは限りません。
自立は必要条件ですが十分ではないのです。
例えば、学校でイジメが起きます。
先生はイジメた子を呼び出し指導します。

すると分かってもらえるのです、イジメが良くないことを。
でも、やってしまうのが集団なのです。

集団には集団特有のメカニズムがあり、所属する人はそれに従って行動するのです。
具体的に言うと、集団内にイジメを止める「空気」があるかないか?で決まります。
空気ができるためには、最初に止めに入る勇者が必要になります。
勇者は、もしかしたら自分がイジメられる側になるかもしれません。もし、1人だけだったら危険ですよね。
それが、1人でも仲間(一緒に止めてくれる人)が現れたら勇気凛々です。
さらに、1人、2人、3人と増えたら、集団内にムーブメントが発生します。
全体の15%〜20%ほどに伝播すると「空気」が出来上がります。
空気が出来上がると、傍観者が減ります。
賛同者が増えるたびに、「仲間がいれば自分も止める」という多数派が動くから、参加者が逓増するわけです。

僕が経験したことは、まさにこの法則だったのです。
マンツーマンで話をすると分かってくれる=自立する。でも、集団内に馴れ合いの空気があるから元に戻ってしまったということ。

もっと正確に言うと、社員の中には集団内に戻っても頑張る人がいました。
しかし、賛同者が少なかったために浮いてしまい、つい空気に合わせてしまったのだと思います。

僕は、この失敗から社員との接し方を変えました。

「集団との対話」に変えたのです。

集団を育てるなら集団に課題を与え集団と対話する

ムーブメントのメカニズムを研究すると、チームの成長には、勇者(イノベーター)をフォローする存在が欠かせないことが分かります。
フォロワーが空気をつくるからです。

でも、フォロワーも怖いわけです。
イノベーター以外の人は、「賛同者がいれば自分も行動する」と考えています。
初期フォロワーは、その人数が少なくても行動しますが、後期フォロワーは大勢いないと動きません。

だからこそ、全員の共通認識とするために、リーダーは「全員がいる場」で「集団に」対話する必要があるというわけです。
コソコソと1対1で対話をするから全体の認識にならないのです。

さらにムーブメントを起動させるためには、リーダーが全体に伝えた後に、みんなで話し合ってもらうことだと考えています。

効果は3つあります。
1、全員で話し合うから全体の課題と認識される
2、参画した分だけ自分事と捉える
3、話し合いの中の段階でイノベーターを支えるフォロワーが現れる

実行の段階がすごくスムーズに行くはずです。

ムーブメントが起動したら、リーダーは行動に対し感謝の気持ちを伝えることが大切です。
感謝されて嫌な気持ちになる人はいませんよね。
(褒められると、コントロールのニオイを感じて嫌がる人はいる。しかもイノベーターほど)

感謝の気持ちを伝えることは、同時に、集団内で起きていることを全体にアナウンスするという効果もあります。
メンバー1人1人は、なかなか全体を俯瞰することはできませんからね。

これが効果絶大。
後期フォロワーが行動する動機は「みんながやっているから」だからです。
賛同者が1人、2人、3人…と徐々に増えていき、全体の15%〜20%を超えた時に、もう、止められないくらいのムーブメントが起きるはずです。

社員を個別に教育してもチーム全体が良くならない。
集団を育てるには集団と関わることが大切です。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

 


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