ヤル気の低下、派閥の発生は「挑戦しないこと」が最大の原因である
社長が抱える人材に関する様々な悩み…例えば、ヤル気の低下、チームがまとまらない、派閥ができる…そうした問題は、実は人材育成とは別の対策が必要かもしれません。
風邪を引いたのに胃薬を飲むように、手の内どころがズレている可能性があります。
これは人材育成、組織開発を生業にしている僕が一番最初に疑うポイントです。
今日はそのポイントについて考えたいと思います。
つまらないゲームはヤル気を出してもつまらない
社員がイキイキと仕事をしている会社は非常に魅力的な商売をしています。
お客様に喜ばれる仕事、社会にインパクトを与える仕事です。
そういう会社には優秀な人材が集まり、さらに良くなるという好循環が生まれています。
この事実は「卵が先か鶏が先か?」と考えてしまいます。
優秀な人材がいるから魅力的な商売になるのか?
商売が魅力的だから優秀な人材が育つのか?
僕は、順番はどちらでも良いと考えています。
どちらかを直せば一方も後から付いてくると。
隣の芝生は青く見えると言いますが、よく他社の社員を見て「ウチにもあんな優秀な人材が来ればもう少し良くなるのに」という社長がいますが、果たして、他社で輝いている人材が来た時に、その舞台があるのか?と思うのです。
こういう場合は自社の商売を魅力的なものに変えることが先決だと考えるのです。
そうすることで様々な課題が解決すると考えています。
これはゲームに例えると分かりやすいと思います。
楽しいゲームは夢中になるがつまらないゲームはヤル気が起きません。
ゲーム会社の開発者は「つまらないのはお前らにヤル気がないからだ」なんて言いませんよね?
同じ様に、自社の商売を面白いものに変えることが大切だと考えるのです。
どうすれば面白くなるか?
1、将来、それを達成した時にメディアの取材を受けるような、社会性・話題性のある事業
2、お客様にうんと喜ばれるだろうという予感がする商売
3、儲かる予感がしてたまらない商売
例えば、新聞販売業では、新聞の売り方を工夫してもなかなか成果が出ない時代になりました。
以前は多少、乱暴な営業(嫌われる営業)をしても成果が出ました。
決して楽しい仕事ではありませんが頑張りが報われたのでヤル気が保たれたと思います。
でも、今はそうではありません。
そこで弊社では地域づくりに事業をシフトしました。
そこから社員の仕事に対する誇りが高まったし、ヤル気も自動巻きになりました。
派閥ができる原因は挑戦の欠如にある
事業の魅力化に関連しますが、大きな挑戦は人と集団を育てます。
チームが1つにまとまらず派閥ができることに悩む社長がいますが、派閥の原因は「派閥を作っても解決できてしまうくらいの課題しかない」と考えています。
社員ではなく環境に問題があるのだと。
例えば僕は「地球上から戦争がなくなるには宇宙人が攻めてくること」という例えをします。
内部で争っていては解決できない大きな課題に直面すると集団は結束します。
結束を最も高めるのは共通の敵の存在ですが、これはあまりオススメしません。
常に敵がいないとまとまらない集団になってしまうからです。
商売の本質は争いではなく、どれだけ顧客の支持を集められるかですので、意識が敵に向くのではなく顧客に向くことが大切だからです。
派閥ができる原因は、挑戦的な課題を設定していないからかもしれません。
そもそも派閥は「利権争い」から生じます。
富を自分たちに多く向けられるように頑張るわけです。
これは守りの発想から生まれるものです。
だから未来を夢見る創業したての会社には派閥ができないのだと考えます。
派閥は十分に成長した安定した古い会社ほどできるのはこうした理由だと思います。
事業が成熟期を迎えると、みんなが「パイの増加の限界」を感じます。
守りに入るのは当然だと思うのです。
そして衰退期に入ったら、権益の確保が最優先され本格的な派閥争いが起きてしまうのです。
これを打破する一番の方法は危機に直面することです。
ある日突然、宇宙人が攻めてくることです。
派閥争いなんてくだらないことをやっていたがために社会の変化に対応できなくなり顧客から見捨てられたということです。
でも、それは避けたいですよね。
だから経営者は積極的な冒険を決意することが大切だと考えるのです。
「事業は冒険をしないと飛躍しない」という名言がありますが、これは人と集団の悩みに関しても言えることだと思います。
問題の本質は「挑戦の欠如」かもしれません。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。