成果主義を導入すると社員は頑張る、でも全体では損をすることが多い
社員の評価は経営者にとって頭を悩ませる問題だと思います。
特に相対評価の場合は社員にとっては死活問題となりトラブルや不満の原因になりますよね?
なぜ相対評価をするのかと言えば、賃金(賞与)の原資は決まっていて、それをやった人とそうでない人に傾斜配分するからです。
全員Aも全員Cも同じで、ABCと分かれるから差が付くのですから死活問題なのです。
でも、それが本当に企業の活力になるのか?と僕は疑問に思っています。
今日は評価制度について考えたいと思います。
個別評価は社員の視野を狭くさせる
僕には評価制度で失敗をした経験があります。
相対評価をして賞与に差をつけたらチームワークが悪くなったのです。
先程も述べましたが評価に差が付くから金額が変わるわけです。
そうなると自分より下の存在が必要になりますよね。
酷いケースでは仲間の失敗を歓迎するようになります。
人間ってそういう一面もあるよね?
助け合い、教え合いが阻害されたことで事業計画が一向に前に進まなくなりました。
仕事は部署間のつながり、仕事のパスによって成果を生み出しています。
だから流れがスムーズに行くと全体の成果が出ます。
これを「全体最適」と言います。
ところが、相対評価をすると「まずは自分」と全体視点が失われます。
この状態を部分最適と言います。
そこで僕は、評価の中に「仲間を助けたか?」という項目を入れようとしましたが、想像しただけで複雑になるのでやめました。
業務時間外でも助け合いや励まし合いは行われ、全てを確認することができないからです。
そこで評価制限自体を廃止しました。
全員が全体の利益に目が向くためには、それが最善だと考えたからです。
それをすることが結果的に全員が得をすると考えたからです。
全体最適に関し、相棒の森本繁生さんが面白いブログを書きました。
仕事が上手く行かない原因を「人ではなく流れを疑え」という内容です。
すごく役立つから是非、読んでほしいです。
ボトルネックとは「流れが詰まる箇所」を言います。
この視点を持つと評価制限に疑問を持つようになります。
賃金の変動が大きい評価制度を止めて全体の最適化を図る
例えば、ある会社では「材料を仕入れる」→「作る」→「包装する」→「販売する」という工程があるとします。
各部署の1日当たりの能力は「仕入れ=10」「製造=10」「包装=5」→「販売=10」だとすれば、この会社が1日あたりにお客様に届けられる数は「5」ですよね。
ボトルネック(一番弱い部分)がアウトプットを決めるからです。
個別の成績評価をすると、例えば製造がバカみたいに頑張り12も作ったりします。
それが自分がいちばん得をする選択だから。
そうすると、製造は仕入れに「もっと頑張れ」と圧力をかけるし、包装の手前では莫大な在庫が発生します。
これが業績を圧迫します。
ちなみに、この会社は包装以外の部署が、半分の5の仕事をする、つまりサボっても業績は変わりません。
それどころか在庫が減る分、業績は向上します。
その方が結果的に全員が得をします。
個別評価をすると流れの悪さが加速することがあるのです。
会社とは1つの生命体のようなものだと思います。
人体は非常によくできています。
40兆とも言われる細胞が自律的に最適な状態を創り出していますからね。
会社も同じだと考えています。
40兆の細胞を持った各社員が、複雑系のつながりの中で最適化を図っています。
だから特定の細胞、1つの器官だけを評価しても意味がない。
企業も同じだと考えています。
ところが「それなら監督者が全体の流れを見て仕事の量を指示すればいいじゃん」「その上でちゃんとやったかを評価すればいい」と思われるかもしれません。
しかし、ボトルネックは常に移動するので監督者の決済を待っていては変化についていけません。
自律的に…指示命令されなくても自分たちで判断し「自己最適化」することが求められます。
個別評価があると、どうしても自分だけを見てしまうと思います。
非常に高度な評価システムがあれば良いかもしれませんが、中小企業の現場では賃金が大きく変動する評価制度は危険だと考えています。
それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。
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